次の当主
揺れ動く日本、そして呪術界。
当主が瀕死の重傷を負ったこの家もまた
「で 死んだん?」
「真依ちゃん」
特別1級術師の禪院直哉(ぜんいんなおや)がいった。
「今は当主の心配を
それに 死にかけているのは真希です」
「そうなん?
ほな ええわ」
「べっぴんさんやけど 真希ちゃんはアカン
アレは男を立てられへん」
「三歩後ろを歩かれへん女は 背中刺されて死んだらええ」
「その点 真依は立派やね
真希ちゃんと同じ顔 同じ乳
強がっとるけど 自分が女やと心底理解しとる」
そういって直哉が座敷に通されたその時
「遅いぞ」
「何をしていた」
座敷で直哉の到着を待っていた特別1級術師の禪院扇(ぜんいんおうぎ)と禪院甚壱(ぜんいんじんいち)がいった。
「実の父親が峠を彷徨っている時に……!!」
「ごめんちゃい♡」
「でも別にええやろ
俺が来んでも 来やんでも」
「次の禪院家当主は 俺 なんやから」
「俺の兄さん方は 皆ポンコツやし
叔父…… 弟のアンタもパッとせぇへん
その娘は論外」
「甚壱君はなぁ……」
「顔がアカンわ 甚爾(とうじ)君と逆やったらよかったのにな」
その時
黙って話を聞いていた甚壱が直哉に殴りかかる。
その攻撃をさらりとかわす直哉。
しかし、今度は扇の刀が直哉の首元を捉える。
「パパが峠を彷徨ってんねんで 堪忍したってや」