危険な夏休み 1 月L 手锭生活
カウンタ77776 あと一歩で赏 桜庭うらん様へ谨んで捧げます
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——真夏の晴天。
クーラーの効いた车内でも、日が差し込むとじっとりと额に汗が渗む季节。
「まったくもー、どうしてみんなで海なのよー! ミサはライトとふたりっきりで行きたかったのにぃー!」
「まぁまぁミサミサ~。こうして行くことが出来るだけでもよかったじゃない」
「でもさー、マッツー」
「いやホント、よく竜崎がOKしてくれたと思うよ。——ねぇ、月くんもそう思わない?」
「えぇ、そうですね。ホント、どういう気まぐれだか……」
运転席と助手席での呑気な会话を受け流しつつ、月はちらりと隣の竜崎に视线を向けた。しかし竜崎は膝を抱えたいつもの姿势でシートに座ったまま、会话に参加する様子はない。
「あーあ。しかもライトの手锭外してくれないなんて、なんのために海に行くんだか……ちょっと!竜崎さん、闻いてるの?」
「……闻いていますよ」
「なら、やっぱり手锭外してよ~っ」
「外せません。それでもいいとミサさんは言いました。嫌なら海は取りやめです」
「……だって。闻いた、ライト? 竜崎さんひどいよねっ」
「ホントですよ竜崎ー。海で手锭って、怪しすぎますって」
助手席から后部座席を振り返った海砂に、竜崎が小声で答えた。ちょうど信号で停车したため、运転席の松田まで后ろを振り返る。
「……あれ。竜崎、ひょっとして気分悪いですか?」
(——へぇ。たまには気が利くんだ)
松田のひとことに、月は内心惊いた。いつもはまるで无顿着で空気の読めない男なのに、こんな时に限って気が利くなんて。
(ホント、忌々しいだろうね、竜崎)
隣で膝をぐっと握りしめて硬直している竜崎を横目で流し见て、月はこみ上げてくる笑いをかみ杀す。
「竜崎? もしかして、车酔いですか?」
「え、そうなの? ホント、普段よりさらに颜色悪いね。大丈夫?」
うつむき加减で答えない竜崎に、ミサまで络み始めた。月はますます笑いたくなるのを必死で我慢する。
「……信号、変わりましたよ」
「え?————うわっ!」
ぼそりと竜崎が指摘した途端、后続车にクラクションを鸣らされ、松田は慌てて前を向いてアクセルを踏んだ。スタート时の加速でミサがうっと息を诘める。同时に竜崎もクッと呼吸を止めたが、それに気づいたのは月だけだった。
「……もう、マッツー运転下手だよっ!」
「ごめん、急いでたから……」
「ほら、ミサ。前を向いてちゃんと座らないと危ないよ」
「ライト……! うん、わかった!」
松田に向かって文句を言うミサに、优しく言ってやると、简単に竜崎から兴味をなくした。前を向いてちゃんと座り直したミサを见届けてから、月は再び隣の竜崎に视线を戻す。——と、目があった。
「………………」
目が合うと、竜崎は一瞬きつく月を睨んで、视线をそらした。そんな竜崎の态度が、月は気に入らない。
「…………具合が悪いのか?」
「………………」
颜を近づけて、耳元で嗫く。すると、竜崎の肩と膝を握る手が、ぴくりと震えた。
「具合が悪いのに……元気なところがあるね……」
微笑混じりに嗫くと、竜崎はきゅっと唇を引き结ぶ。月は前のふたりが雑谈に兴じていて后部座席に意识がないことを确かめてから、手锭の锁が音を立てないようにそっと竜崎の背中に手を置いた。——途端、竜崎はびくっと全身を震わせる。
「大丈夫か?」
「…………触らないで下さい」
触れた背中をゆっくりと上下にさすると、竜崎は震える身を固くして、不机嫌そうに呟いた。その声に、月は优しく微笑み、けれど手は止めない。