ストーリー
―――“虫”。
希望や愿望や欲望が饱和しやすく、时に彼らが生きる目的そのものともなる、さまざまな≪梦≫を抱いて生きる少年少女达。
その梦が自らの器から漏れ出すほど大きく、抑えきれなくなった时、いずこからか现れて梦を食らい様々な物を夺っていく代わりに、望みもしない强大な力を与える昆虫に似た超常の存在、“虫”。
“虫”に寄生された者たちは「虫凭き」と呼ばれ、公には存在しないとされているにも拘らず、もはやその単语を知らない者はおらず、目撃证言や虫凭きのものと思われる异常现象は年々増加し、噂の范畴から抜け出ていないにもかかわらず人々の间で差别と恐怖の対象になっていた。
ここに一人の虫凭きがいた。
名を“かっこう”。虫凭きを発见・捕获し、政府の公式见解同様に「存在しないもの」として処理する政府机関「特别环境保全事务局」、略称「特环」に所属する虫凭きであり、冠する称号は「火种一号」・・・つまり特环中最强の虫凭きである。
彼は虫凭きの中でも最も强く、最も多くの同族を倒してきた戦士である。取り付かれた虫を杀された者は欠落者・・・外界からの刺激以外に対して全くの无反応な抜け壳になってしまい、彼らにとっては≪死≫も同义である。しかし、それすらも彼の闘争への道の障害たりえない。同じ苦悩を持つはずの虫凭き达を次々と打ち倒し、蹂躙し、欠落者の山を作り出し、时には文字通り「存在しないもの」としてしまう。
彼は走る事をやめない、速度を缓めない、止まらない。なぜなら虫凭きであるという事は、彼にも梦があるからだ。自ら戦いの道へ进むのも、多くの虫凭きから恐れ・憎まれる存在となったのも、全てはその梦の为であった。故に、彼は戦う事を止めない。まだ自分の梦は叶っていないから、まだ自分の中で决して消えない少女との约束が、果たされていないから。
绿色の虫が弾け、“かっこう”の体に突き刺さる。虫と同化し、破灭的な威力を秘めた铳口を、眼前の巨大な虫へと向ける。
号炮が轰いた・・・。
どこかはわからない场所、いつかはわからない时。
抜け壳であるはずの一人の欠落者の瞳に、光が戻った。