「〈狩人〉の头ばかりをしかれぬな。わしも、初手から大失败をした。……わしが、まっさきにせねばならなかったことは、ナナイ大圣导师がのこした|秘仓《ひそう》を调べることだったのだ。」
「秘仓?」
「この星ノ宫には、圣导师しかしらない秘密の仓がある。そこには、ナナイ大圣导师がのこした、极秘の文がきざまれた石板がねむっている。しかし、その石板は〈古代ヨゴ文字〉で书かれておるのでな、读みとくには、かなりの手间がいるのだ。
シュガよ。わしには、政をうまくおさめるという大仕事があり、とても、このことにかかりきりになるわけにはいかぬのだ。そなたに、この役をまかせる。——いそぎ、石板を读みといて、二百年まえに、いったいなにがおこったのか、つきとめよ。」
シュガは、ふかく头をさげた。——やはり、この人は尊敬にあたいする贤者だ、とシュガは思った。圣导师は、もう一言、つけくわえるのをわすれなかった。
「よいか、心せよ。われらは、ヤク—の咒术师にいわれてうごきだしたのではないぞ。われらは、みずからうごきだしたのだ。そなたが|秘文《ひぶん》を读みとき、ことが解决したあかつきには、正史には、|星读博士《ほしよみはかせ》の功绩として、これをのこさねばならぬ。わかっておるな。これが、国をおさめるすべぞ。」
シュガはうなずいた。……そう。つまりは、こういうことが二百年まえにもおこなわれたのだ、とシュガは心のなかでつぶやいていた。
圣导师の部屋をでても、肌をしめつけるような不安は、なかなかさらなかった。シュガの心をむしばみはじめたこの不安は、ただ第二|皇子《おうじ》にやどったモノを读みちがえ、うつ手をまちがえてしまった、ということだけではなかった。——もっとずっとおくふかい不安だった。
これまで、〈|天道《てんどう》〉こそは、この世のすべてであり、星读みとしての知识をきわめれば、いずれは真理にたっすると思っていた。それを、つゆうたがうことはなかった。
だが、ほんとうにそうなのだろうか。このヤク—の咒术师が、圣导师さえしらなかったことをしっていたように、この世には、もしかしたら〈天道〉とはべつの、なにかがうごいているかもしれない——そんな思いが、シュガの心の底にうごめきはじめていたのだ。
「秘仓?」
「この星ノ宫には、圣导师しかしらない秘密の仓がある。そこには、ナナイ大圣导师がのこした、极秘の文がきざまれた石板がねむっている。しかし、その石板は〈古代ヨゴ文字〉で书かれておるのでな、读みとくには、かなりの手间がいるのだ。
シュガよ。わしには、政をうまくおさめるという大仕事があり、とても、このことにかかりきりになるわけにはいかぬのだ。そなたに、この役をまかせる。——いそぎ、石板を读みといて、二百年まえに、いったいなにがおこったのか、つきとめよ。」
シュガは、ふかく头をさげた。——やはり、この人は尊敬にあたいする贤者だ、とシュガは思った。圣导师は、もう一言、つけくわえるのをわすれなかった。
「よいか、心せよ。われらは、ヤク—の咒术师にいわれてうごきだしたのではないぞ。われらは、みずからうごきだしたのだ。そなたが|秘文《ひぶん》を读みとき、ことが解决したあかつきには、正史には、|星读博士《ほしよみはかせ》の功绩として、これをのこさねばならぬ。わかっておるな。これが、国をおさめるすべぞ。」
シュガはうなずいた。……そう。つまりは、こういうことが二百年まえにもおこなわれたのだ、とシュガは心のなかでつぶやいていた。
圣导师の部屋をでても、肌をしめつけるような不安は、なかなかさらなかった。シュガの心をむしばみはじめたこの不安は、ただ第二|皇子《おうじ》にやどったモノを读みちがえ、うつ手をまちがえてしまった、ということだけではなかった。——もっとずっとおくふかい不安だった。
これまで、〈|天道《てんどう》〉こそは、この世のすべてであり、星读みとしての知识をきわめれば、いずれは真理にたっすると思っていた。それを、つゆうたがうことはなかった。
だが、ほんとうにそうなのだろうか。このヤク—の咒术师が、圣导师さえしらなかったことをしっていたように、この世には、もしかしたら〈天道〉とはべつの、なにかがうごいているかもしれない——そんな思いが、シュガの心の底にうごめきはじめていたのだ。










