
劉邦、本名は季。
偉大なる始皇帝の崩御後、乱世となった中原において、覇王・項羽と並び立ち、最終的に再び中華を統一し、漢王朝を築いた高皇帝である。
度量が大きく、人を見る目に優れ、用人に長ける人物として「中華皇帝の到達点の一つ」と評される。
そんな彼が今、侠客という形で現界している。その真相とは……?
「通りすがりの正義の味方の力だ。――その命で、味わってみな」
筋力:C+ 耐久:A 敏捷:B
幸運:EX 魔力:B 宝具:A
身長/体重:181cm・67kg
出典:『史記』『漢書』などの史実
地域:中国
属性:秩序・善 副属性:星 性別:男
意外にも武闘派。
【クラススキル】
○龍種:A+
いわゆる「龍の因子」。
中華の天命を象徴する神霊の力が宿っていることを示すスキルであり、西欧や東洋の幻想種としての“竜”とは位相が異なるため、神性スキルの亜種とも解釈される。
赤帝の子とされる劉邦は、極めて純粋な龍の血を持ち、強力な宝具を行使可能。
【固有スキル】
○乾坤一擲:EX
本来は「窮地における魅力」および「鑑識眼」の効果を含んだ複合スキル。
人的資源の調整や補正を通じて、瞬時に局面を逆転させる。
窮地であればあるほど真価を発揮する才能。
○剣璽炎霊:A
「蛇斬りの挙兵」の伝承に由来し、「建国神話」へと昇華された能力。
「皇帝特権」および「魔力放出(炎/嵐)」を含む複合スキル。
天子としての神聖性の具現であり、自身に宿る龍の核を活用した結果である。
また、「龍核敗変」と呼ばれる過負荷による出力増加の運用も存在する。
○性格
普段は気ままで飄々とした快男児。
第二の人生を心から楽しむ刹那主義者。
やる時は徹底してやる。
酒宴も「人生最後の晩餐」のつもりで楽しむ。基本的には何事にも全力。
現界後は無用な争いを避けようとするが、渦中の真実を見抜き、決定的な場面では「正義の側」に立ち刀を抜く。悪には決して容赦しない……
まさに、主人公然とした行動規範を持つ。
総じて、不羈の遊侠といったところ。
『煌々帝剣』
ランク:B 種別:対王/対神宝具
レンジ:1~10 最大捕捉:1人
赤霄(せきしょう)。
『史記』に記された、秦の天命を象徴する白蛇(白帝の子)を斬った「蛇斬りの剣」。別名・赤霄。
後世では天叢雲と同質の「八重雲」と関係するものとして語られる。
本来は劉邦の中華統一と共に地上に現れた、熒惑星由来の天造兵装。
炎帝の神性を包む赤き雲霞を纏い、「帝の剣」とされるが、本質はやはり“鞘”である。
『天の最果』
ランク:A+ 種別:対軍宝具
レンジ:1~300 最大捕捉:300人
ザ・ヘブン・リミテッド
最終的に高皇帝となった「赤き竜の子」。
天下統一の気運を現界させたもの。
剣にまとわりつく“嵐”を解放・拡張し、天を焼き尽くす緋色の潮流と成す。
風水を改変し、劉邦の立ち位置を“決して傷つけられぬ”絶対的な幸運の障壁として定義。
これを突破できるのは、上位因果律武装のみとされる。
『大風起兮雲飛揚』
ランク:EX 種別:対国宝具
レンジ:1~900 最大捕捉:900人
ふうきうんゆう
後世に「理想の王」と謳われる漢の初祖の登場と、楚漢戦争の戦場を再現する宝具。
第二宝具の防御効果を解除し、剣に再収束させて外へと解き放つ。
因果を逆転し、破壊をもたらす。秩序・時間・空間は崩壊し、あるいは逆行し、
現実を侵食する大魔術へと至る。
最大出力時には、天を統べる神の影が赤き剣を掲げて顕現し、地平にはかつて共に戦った漢軍の面々が姿を現す。
王の器量と魔力の量により威力が変化し、神性持ちにはより効果的。
○歴史上の人物像
秦代に地方官吏を務めていたが、後に義を見て侠を行い、草莽に身を隠す。天下に異変が生じた際、蛇を斬って挙兵し、反秦の義軍に加わった。
先駆けて関中に入城し、三秦の地を拠点に楚漢の争いを制し、長安にて漢王朝を打ち立て、かつて味方であった諸侯王を粛清し統治を固めた。
かつてこう述べている――
「軍略をめぐらし千里の勝敗を決するにおいては張良に及ばず、国家を治め民を安んずるには蕭何に及ばず、百萬の軍を率い戦って負け無しにおいては韓信に及ばず。」
まさにこの“人を見て人を用いる”才覚こそが、宿敵・項羽を打ち破った決め手であった。
○FGOにおける人物像
――だが、たかが一介の侠客が、わずか数年のうちに天下人へと成り上がった過程には、個人の努力や仲間の助力のみならず、歴史の潮流そのものが作用していた。
対する西楚の覇王・項羽の真実とは、“歴史を切り開くために創られた時間の歯車”である。
劉邦を次代の天命の子と見定めたその瞬間から、“魔王”の役を買って出て、次々と試練を与えた。
秦の終焉を見届けると、何の感情もなく秦の遺族を虐殺し、領地を焼き払い、民を殺し、諸侯へ無秩序な領土分配を行うなどして、劉邦に「辺境の安定と一気の躍進」を両立できる環境を整えた。
その結果、“悪が支配する時代はもう御免だ、生き延びたい”と願うすべての人々が、最終的に劉邦の側に立った。
幾度となく項羽の演算を超え、竜の核を宿した男が開花する。
善悪を超えて天下を包容した彼に対し、項羽は“悪を受け止める器”として烏江にて惨烈な結末を迎える。
そしてその礎の上に、“始皇帝”を模して築かれた理想の王国が新たに生まれた――それは天意そのものであった。
の核を宿した男が開花する。
善悪を超えて天下を包容した彼に対し、項羽は“悪を受け止める器”として烏江にて惨烈な結末を迎える。
そしてその礎の上に、“始皇帝”を模して築かれた理想の王国が新たに生まれた――それは天意そのものであった。
この男は、幾多の戦を経て、自らの“天命”に気づき、それを理解した。
天下を掌握し、天下を呑み込むこと――まるで火のごとく、自らを広げながら世界(九州)を食らい尽くすこと。
それは、かつての始皇帝と何ら変わらぬ道。
だが彼は思った。「自分の勝利は、秦の終焉ではなく、むしろ秦の“永続”に他ならない」と。
その行動も、原初の志も、すべては圧政に抗おうとした素朴な義心から生まれたもの。
数万の民草が決して失わぬ、“侠”という名の血潮。
人は時と共に老い、やがて堕落する。
では、その時どうすべきか?
始皇帝とは正反対に、劉邦が選んだのは“高貴なる決断”ではなかった。
彼は、自らが生まれた天地の隙間、民の中にこそ、新たな可能性が生まれると信じた。
そして次なる盛世を切り開く者が、必ず現れると。
彼は最終的に、自らの“天命”を拒絶した。
神性の灼熱に耐えながら、それでも“龍の核”を自らの血により中原大地に縫い留めた。
寛政を布き、養民に努め、北境の侵略に対しても妥協を以て応じた。
もし漢王朝が秦と同じく衰退するのならば、同じ龍の血を引く子孫が立ち上がるだろう。
仮にその血脈さえ尽きようとも、それに代わる者が必ず現れる――と。
晩年に起きた功臣たちの反乱も、あるいはそのための布石であったのかもしれない。
……それは、天下を平定した皇帝が選んだ“動乱”のかたち。
数十年、数百年、あるいは数千年、そして数億の犠牲を以て賭けた壮大な博打。
歴史を果てなき江の潮と見なし、民衆を国家という大舟を前進させる水流と見る。
その果てに星河のように天に広がり、数百年燃え続けた赤き光こそ――「漢」の真髄である。
――「やっぱり俺は、乱世にこそ侠と呼ばれるべき存在なんだな」
○侠(きょう):EX
侠の大義は、国と民に在り。
これは絶対に消えぬ魂の灯火。乱世の行く先を照らす貴き資質。
それによって生まれた独自の武術、直感、そして歩み続ける超意志。
たとえ天涯地果であっても刀を抜き、民の祈りに応えて火の中水の中へと赴く。
その在り方は、もはや守護者と何ら変わらぬ。
男が真に想いを寄せるのは――仲間と共に天下を奔走した、侠としてのあの時代である。