尊敬する中澤工先生
拝啓
大変恐縮ですが、このようにご連絡させていただきました。もしお邪魔でしたら、心よりお詫び申し上げます。もしよろしければ、少しだけお読みいただけますと幸いです。海外のプレイヤーの愚痴だと思ってお聞きください（笑）
初めてお手紙を差し上げます。まず、「メモリーズオフ2nd」において南つばさという素晴らしいキャラクターを創造してくださったことに心より感謝申し上げます。
南つばさ先生の知性、神秘的な魅力、包容力、そして一挙手一投足が全てのプレイヤーの心を揺さぶりました。彼女の言葉の一つ一つが詩のように美しく、その哲学的な思考は私たちに深い感銘を与えました。特に自然との調和、風や空、そして自由を象徴する燕についての彼女の洞察は、単なるゲームキャラクターを超えた存在感を放っています。中国では、南つばさというキャラクターの人気は原作の蛍に決して劣りません。
先生が書かれたシナリオは、20年経った今でも解釈され続けています。古典的な作品は決して時代遅れになることはなく、まさに「紅楼夢」のようです。時代が変わっても、人々の心に触れる真実の物語は永遠に輝き続けるものですね。
私たちは風を追い求め、自由な燕になりたいと願うあの少女を愛しています。そして「僕はあなたの風になりたい」と確かな思いで告げた少年に、私たちは心温まる満足感を覚えました。あの純粋な感情、揺るぎない決意、そして何よりも互いを尊重し合う関係性に、多くのプレイヤーが自分自身の理想を見出したのではないでしょうか。
しかし今、時は流れ、プレイヤーたちも若くはなくなりました。社会に出た人もいれば、父親や母親になった人もいます。日々の雑事に縛られている人や、かつては大きな抱負を抱いていたのに、今では単調な日常に閉じ込められている人もいます...。
現代社会では、金銭や利益のために、かつての自分では想像もできなかったような行動をとる人々を見かけることがあります。大切なものを簡単に手放し、心の声よりも世間の評価を優先させる風潮が強まっているように感じます。創作の世界でさえ、純粋な表現よりも商業的な成功が重視され、過去の名作や愛されたキャラクターの本質が変質させられることもあります。
これは何も特別なことではなく、むしろ普遍的な現象なのかもしれません。時代の流れと共に価値観も変わり、かつて大切にされていたものが軽んじられることは歴史上繰り返されてきました。万人の中の一人に過ぎない私には、この大きな流れを変える力はありません。ただ、心の中で南つばさの教えを守り続けることしかできないのです。
それでも私は信じています。南つばさを愛する全ての人の心の中には、風と共に舞う自由な燕がいるはずです。彼らがまだ行ったことのない場所へ、かつて勇気のなかったことへと導く燕が。あのレモンを持つ少女が、私たちに風を感じ、風に耳を傾け、風を理解することを教えてくれたからです。私たちは皆、この少女の悲しい過去を知っていますし、彼女の強さと勇気に感嘆しています。
南つばさが教えてくれたのは、どんな状況でも自分の心に正直であること、過去に縛られず未来へと羽ばたく勇気、そして何より自分自身の価値を見失わないことの大切さでした。この教えは、商業主義が蔓延る現代においても、私たちの心の支えとなっています。
時には、かつて愛したものが変わってしまうことに悲しみを覚えることもあります。しかし、つばさが私たちに与えてくれた感動と勇気は、誰にも奪われることはないのです。それは私たちの心の中で、永遠に生き続けるでしょう。
千の言葉も万の言葉も、ひとつの詩に集約されます：
花は音もなく散り春は過ぎゆき、
枝には儚き香りのみ残る。
人生は夢のごとく瞬く間に過ぎ去り、
ただ長き溜息だけが残るのみ...。
しかし、その溜息の中にも、確かな希望の光は残っています。つばさが私たちに教えてくれたように、風は常に吹き続け、私たちを新たな地平へと導いてくれるのですから。
最後になりましたが、再度先生の素晴らしい創作に心からの感謝を申し上げます。南つばさというキャラクターは、多くの人々の心に永遠に生き続けることでしょう。
敬具
つばさを愛する一ファンより