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回复:【生肉】261-完结

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 平静を保とうと努力している私の心境を知ってか、知らずか、レオンハルト様の視線が私を捉える。
 いつもは鋭い眼光を放つ黒い瞳が、驚きを表すように瞠られた。
 じっと見つめられて、居心地が悪い。
 何か変だろうかと不安になりかけた時、レオンハルト様の眦が緩む。うっすらと頬を赤らめた彼は、とても幸せそうに微笑んだ。
 音もなく唇が、「綺麗だ」と綴る。
「…………っ」
 やめて、死ぬ。
 シンプルに死ぬ。
 既に過剰摂取で吐血しそうなのに、これ以上は止めて。死んでしまいます。
 式はまだ始まったばかりなのに、私は既に息も絶え絶えだ。
 婚約して二年も経つのに、私は未だレオンハルト様への免疫が出来ていない。割とスキンシップ多めな方だと知ったのに、その度に死にそうになっている。
 今日からお嫁さんになるなんて、未だに信じられない。
 慣れるとか、飽きるとか、そんな言葉とは無縁。日を追うごとに『好き』が増していて、心臓が壊れそう。
 なんとか薄い微笑みを張り付けたまま、レオンハルト様の隣まで辿り着く。
 厳かな空気の中、大司教様による祈祷が始まる。
 聖書の一節を朗読する声が、広い空間に響き渡った。平坦でありながらリズミカルな声の調子は、読経みたいで落ち着く。
 ようやく呼吸が整ってきた頃、祈祷から誓いの言葉へと移り変わる。
「健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も……」
 文面は地球式と変わりない。
 小さい頃に親戚の結婚式に参加した時も、こんな感じだった。意味は分からないのに、何故か感動した記憶がある。それはたぶん、二人が幸せそうだったから。
 世界で一番幸せだと、目が、表情が語る。
 とびっきりの笑顔の花嫁さんは、間違いなく世界で一番綺麗に見えた。
「富める時も、貧しい時も」
 私も、あんな風になれるかな。
 ずっと追いかけ続けてきた人の隣で、私は今、どんな顔をしている?
「愛し、敬い、慰め、助け」
 女性として見てもらえない事が辛くて、泣いた日もあった。
 心が折れそうになって、止めたいと思った瞬間もある。けれど好きって気持ちは、どうやっても止められなかった。
 正直、好きになってもらえるなんて楽観的な気持ちにはなれなくて、いつでも必死だった。思いが通じ合った今でも、夢なんじゃないかなって時々思う。
 ――でも、
「その命ある限り真心を尽くす事を誓いますか?」
「誓います」
 真摯な声が、告げる。
 レオンハルト様の秀麗な横顔に、迷いは一切ない。
 うん、大丈夫。
 これは現実。
 私はちゃんと、レオンハルト様の隣に辿り着いたよ、と。
 幼い頃の私に、心の中で語り掛けた。
 今日、私の夢が叶う。
「誓います」
 胸がいっぱいで、少し声が震えた。
 やがてベルベットのリングピローが運ばれてきて、レオンハルト様と向き合う。
 彼は白い手袋を外した。節くれだった大きな手が、銀色のリングを取る。そっと左手を持ち上げられ、薬指にするりと嵌った。
 同じようにリングを手に取るが、緊張しているせいで取り落としそう。
 でも重ねた彼の左手が励ますみたいにキュッと指を握るから、そちらに気を取られて、震えは緩和される。どうにか指の付け根まで押し込めた。
 出来た、と顔を上げる。
 安堵のあまり、子供みたいな顔していたと思う。
 そしたら、酷く優しい目と視線がかち合った。
 慈しみと、庇護欲とを目一杯詰め込んだような眼差し。けれど、それだけでない熱量も込められている。
 墨色の瞳は、愛しているのだと、言葉よりも雄弁に語りかけた。
 そんな目で見られていたのかと思うと、一気に顔が熱くなる。
 レオンハルト様はベールを捲って、後ろへと流す。
 焦っている私の頬に、するりと指を滑らせる。添えた手に上向かされた。
 あ、あれ? このタイミングでするんだっけ?
 頭が上手く働かずに混乱している間にも、綺麗な顔が近付いてくる。
 耐えきれなくて目を思いっきり瞑ると、額に柔らかな感触。
 すぐに離れたのでほっと息をついて目を開けると、焦点が合わない至近距離に、まだレオンハルト様の顔があった。
 ぱちくりと、瞬きをする。
 脳が理解する前に、唇に唇が重なった。
「……っ?」
 驚きに思わず固まった。
 頭が真っ白で何も考えられない。
 たぶん余裕で十秒以上経ってから、唇がようやく離れる。
「大変、仲睦まじいご夫婦ですね」


IP属地:广东来自Android客户端17楼2022-06-12 15:47
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     大司教様は微笑ましいものを見るような目で、私達に笑顔を向ける。
     からかう意図は全く感じなかったけれど、私は恥ずかしくて顔を上げられなかった。
     その後に結婚証明書にサイン。
     祝福されながら式を終え、レオンハルト様にエスコートされながら馬車へと移動する。
     まだ顔の赤みが引かない私は、優しい目で見つめる彼をちょっと睨む。
    「心の準備くらいさせてください」
     打ち合わせでは指輪交換の後、大司教様が『誓いの口付けを』と言う筈だった。
     その過程をすっ飛ばして、しかも額にキスで終わると思っていたのに。
     恨みがましい目で見ても、レオンハルト様はニコニコと笑うばかり。
    「貴方があまりにも綺麗だから、我慢が利きませんでした」
     しかもそんな言葉をしれっと告げる。
     更に赤くなっている私の頬を、愛しげに撫でる手付きに絆されそうになった。
    「あと、牽制の意味もありますね。会場にいた男性の殆どは、貴方に見惚れていましたから」
     『殆ど』はあきらかに言い過ぎだと思う。
     呆れながらも、嬉しいのはやっぱり隠せなくて、口元が勝手に緩む。
    「心配しなくても、私には貴方だけです」
    「ずっと?」
    「ええ、一生」
     迷いなく頷くと、レオンハルト様は嬉しげに笑う。少年みたいに屈託のない笑顔は、私が一番好きな笑い方だ。
    「オレも貴方を愛し続けます。死が二人を分かつとも、ずっと」
     当たり前みたいに、生涯だけでなく、その先も誓ってくれる。
     深い愛情が嬉しくて、私はそっと身を寄せた。
     今日から、この人の隣をずっと歩いて行きたい。
     健やかなる時も、病める時も、死が二人を分かつとも。


    IP属地:广东来自Android客户端18楼2022-06-12 15:49
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      2026-01-17 15:45:12
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      268
      ※二話連続更新ですので、お気をつけください。
      エピローグ
       リーンゴーン
       王都に祝福の鐘の音が響く。
       目の覚めるような青空の下、色鮮やかな花弁が舞い散る。
       その夢のような光景に見惚れながらも、少女は走った。
       前を走る少年は少し先で足を止め、急かすように手を振る。
      「早く! 馬車が通り過ぎちゃうだろ!」
      「待ってよ、息が……」
       息を切らせながらも、なんとか少年の後ろ姿を見失わずに後ろをついていく。
       王都の店は、祝いの日として朝から商売していたが、今は殆どが一時的に閉めている。パレードを一目見ようと、大勢の人が沿道に詰めかけた。
       大通りに近付く程に、人でごった返している。
       間をすり抜けながら、少女は腕に抱えた花束が潰れないよう大事に抱え直した。
      「ほら、こっち。ここからなら入れる」
       少年は細い路地を指差し、中へと進む。
       荷物で塞がれた場所も器用に上り、まるで野生の猿のような身軽さだ。
      「む、無理!」
      「無理じゃない。お会い出来なくていいのか?」
      「……良くない」
      「うん。ほら、手ぇ貸せ」
       先に花束を少年に渡してから、少女は必死になって手を伸ばす。
       どうにか上っても、次もまた障害物。挫けそうになる自分を励ましながら、少女は道なき道を進んだ。
       そうして辿り着いたのは、沿道にある建物と建物の間。
       子供ならギリギリ通り抜けられる隙間を抜けると、人の壁が出来ていた。大人の腰の辺りに体を捻じ込んで、前まで来た頃には既に疲労困憊。
       お気に入りのワンピースも、朝から母親に頼んで結ってもらった髪も、ぐしゃぐしゃのヨレヨレ。
       それでも少女は目を輝かせ、到着を今か今かと待った。
       やがて歓声と共に馬車が、ゆっくりと近付いてくる。
       黒革に金の装飾が施された馬具を付けた立派な二頭の白馬が、折り畳み式の幌付の豪奢な馬車を引いている。
       乗っているのは、長身の美丈夫と絶世の美姫。
       男性は周辺諸国にも名を轟かせる勇将、レオンハルト近衛騎士団長。
       女性はネーベルの至宝と呼ばれる第一王女、ローゼマリー殿下。
       国の宝とも呼ぶべき二人の結婚。
       しかも政略結婚ではなく、互いに愛し合っているのは、一目見れば分かる。幸せそうに寄り添う二人に国民は喜び、心から祝福した。
       少女もその中の一人。
       ただ、それだけではない。
       少女は数年前に、父親を病で亡くした。
       苦しむ父に何も出来ず、ただ見送る事しか出来なかった少女は、それから医者という職業に興味を持つ。
       周囲の人間の殆どは、反対した。
       女の子には無理だ、お金もかかるから片親では難しいと、色んな理由を挙げて少女を諦めさせようとする。
       ただ母親と幼馴染の少年だけは、少女の夢を応援した。
       少女も母親の手伝いの傍ら、書物を読んで勉強に励んだ。
       そんな時だ。ローゼマリー王女殿下が公爵位を賜り、領地に医療施設を建てるという話を聞いたのは。
       しかも治療する為だけの施設ではない。薬や治療法の研究施設と、医学に興味のある若者を集い、医者を育てる学び舎まで併設するという。
       身分も国籍も性別も関係なく、誰にでも門戸を開く。
       更に、成績優秀者は一部学費を免除する仕組みも検討されているらしい。
       理想郷のような話を、すぐには信じられなかった。
       それでも、その日から少女にとって、夢はただの夢ではなくなった。
      「おい、来たぞ!」
      「う、うん!」
       もうすぐ目の前を馬車が通る。
       四方を護衛の騎士が囲っているので、近づくのは難しい。どうにか花束だけ渡したいと身を乗り出していると、馬車の上で手を振る女性と目が合った。
       光り輝くような美女に見つめられ、少女は動きどころか、呼吸も止める。
       息を詰めたまま固まる少女に、花嫁は手を伸ばした。
       少女が差し出していた花束を、そっと受け取る。
      「ありがとう」
      「……っ、」
       感無量とはこの事かと、少女は思った。
       伝えたい言葉は色々あるのに、胸がいっぱいで何も言えない。せめてお祝いの言葉を、と考えた少女の口から零れ落ちたのは、全く別のものだった。
      「わたし、お医者様になります……!」
       違う、これじゃないと思っても、もう遅い。
       花嫁の蒼い瞳が丸くなったのを見て、少女は蒼褪めた。
       こんなお祝いの席で、何を訳の分からない宣言をしているのかと、少女は自分を責める。
       しかし花嫁は責めなかった。意味が分からないと黙殺もしない。嬉しそうに顔を綻ばせた彼女は一つ頷いた。


      IP属地:广东来自Android客户端19楼2022-06-12 15:50
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        「はい、待っています」
        「!」
         たった数秒の邂逅。
         周りの誰も気づかないような、小さな出来事。
         それでも、その出来事は少女の人生に於いて大切な指針となった。
         やがてネーベル王国の医療水準は世界一を誇るようになる。
         多くの優秀な医師、薬師が輩出され、彼等は世界中で活躍した。その中には、貧しい者達を無償で救い続け、聖女と呼ばれるようになった女医もいる。
         医療施設のある公爵領は目覚ましい発展を遂げ、今や王都と並ぶ賑わいを見せる。
         各国から訪れた商人達によって活気づき、街には珍品、逸品が溢れているが、この領地の一番の目玉はそれらではないと、皆、口を揃えて言う。
         いつまで経っても美しく、優しく、仲睦まじい公爵夫妻。
         彼等以上に尊いものなど無いのだと、領民は誇らしそうに笑うのだった。
         これにて本作は完結となります。
         長い間、お付き合いいただきありがとうございました。
         少し休憩を挟んでから、また後日談や番外編等にとりかかる予定なので、そちらも覗いてみていただけたらとても嬉しいです。


        IP属地:广东来自Android客户端20楼2022-06-12 15:51
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          【完结】


          IP属地:广东来自Android客户端21楼2022-06-12 15:51
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            266补
             母様がぶつぶつと文句を呟いているが、父様に直接噛み付かないのは、今日という目出度い日に喧嘩したくないという配慮だろう。
             父様と母様も、大分距離が縮まってきたと思う。
             昔のように一方的でなく、遠慮もない。
             微笑ましい気持ちになって、つい口元が緩む。
             そんな私の姿を見て、父様は動きを止めた。ふむ、と腕組みをしてから、頭のてっぺんから爪先までをじっくり眺める。
             しかし特に感想はないのか、無言のままだ。
            「……何かないんですか?」
             沈黙が居た堪れなくて、私の方から問いかける。
            「何かとは?」
            「綺麗だとか、見違えたとか」
             もちろん、父様がそんな事を言うはずがない。
             鼻で嗤われるところまでセットで想定済み。しかし父様の反応は、考えていたものとは違った。
            「今更だろう」
            「?」
             今更とはどういう意味だろう。
             首を傾げる私を見て、父様は溜息を吐き出す。
            「私達の娘だ。美しくない訳がない」
             驚きに固まる私と同じく、母様も愕然としている。もちろん、控えていた侍女らも呆気に取られた顔をしていた。
             自分が美形だという自覚があったんだとか、遠回しに惚気てないかとか、色々と気になって何処に突っ込めばいいか分からない。
             皆が皆、混乱しているので、室内に気まずい沈黙が落ちる。
             少し頬を染めながらも、母様は呆れ顔で目を伏せた。
            「……貴方達、少し席を外しましょう」
             戸惑っている侍女に、母様は部屋を出るよう促す。
             どうやら父様が私に話があると、考えたのだろう。
             二人きりにしないで、せめて母様は残ってほしかった……。
             まさか、こんな日に駄目出しをしないと思いたいけれど、父様だしな。油断出来ない。
             身構える私に対し、父様は通常運転。平時の無表情のまま、じっと私を見つめた。
            「確かにお前は美しい」
            「は?」
             どストレートな賛辞に思わず真顔で返す。
             しかし父様は気にする様子もなく、言葉を続ける。
            「だがお前の本当の価値は、容姿ではない」
            「え?」
            「私は、幼いお前に何の期待もしていなかった。故に何もしなかった。しかし、お前は自分の頭で考え、動き、結果をもぎ取ってきたな」
             初めてまともに相対した日の、父様の目を思い出す。
             私が食ってかかるまでは、まるで道端の石ころでも見るような無機質な眼差しだった。たぶん何もせずに諦めていたのなら、今も変わらずあの目で見られていたのだろう。
             不器用な私は何度も失敗して呆れられてきたけれど、それでも、少しは認めてくれるんだろうか。
             そう仄かに期待する私の目を見据え、父様は口を開く。
            「賞賛に値する」
            「……」
             すぐには、言葉の意味が理解出来なかった。
             薄く唇を開いたまま、呆けてしまう。
            「今日のお前があるのは、他の誰の手柄でもない。お前自身がたゆまぬ努力を積み重ねてきた事の結果だ。誇っていい」
             なにそれ。
             今まで駄目出しばっかりで、まともに誉めてくれた事なんてないくせに。急にそんな事言われても、どんな反応をしていいのか分からない。
             素直に受け止めるのが癪で、撥ね除けてしまいたいのに。
             声は喉の奥で閊えて、まともに出せない。目頭が熱くなって、涙の衝動を訴えた。
             肩を震わせて立ち尽くすしか出来ない私に、父様は目を細める。
             見たこともない柔らかな顔で、微笑んだ。
            「幸せになれ」
            「…………っ」
             今度こそ、堪えきれなかった。
             視界が滲む。目尻から涙が零れて、頬を伝い落ちる。押し殺せなかった嗚咽が口から洩れた。
            「泣くな。化粧が崩れるぞ」
            「誰のせいですか……っ」
             ぼやける視界の中、父様が私の頬に手を伸ばし、涙を掬い上げる。
             ついいつもの調子で噛み付くが、「私のせいか」と返す声も笑いを含んでいて、もうどうしたらいいか分からない。
             ついでに涙の止め方も分からない。
             私は父様が、ずっと苦手だった。
             でも同時に誰より認めて欲しかったのも、この人だったんだと思う。
             ぼろぼろと泣き続ける私の顔は、当たり前だけど大変な事になった。
             時間を見計らって帰ってきた母様は、私の惨状を見て悲鳴を上げ、傍にいた父様を叱り飛ばす。強制的に退室させられた父様が『解せぬ』という顔をしていたのが可笑しくて、可笑しくて。笑ってしまった事により、更に化粧が崩れるという悪循環。
             大切な日になにやってるんだかと思わなくもないが、どうしようもなく幸せだ。


            IP属地:广东来自Android客户端22楼2022-06-12 15:55
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              居然完结了吗,太久没看了


              IP属地:广东来自Android客户端23楼2022-08-31 11:20
              收起回复
                转生公主txt整合
                链接:网页链接
                提取码:7rpq


                IP属地:广东来自Android客户端24楼2022-08-31 11:32
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                  2026-01-17 15:39:12
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                  不感兴趣
                  开通SVIP免广告
                  谢谢


                  IP属地:德国来自iPhone客户端25楼2022-11-13 22:46
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                    感谢搬运!!!完结散花~~


                    IP属地:广东27楼2023-01-09 01:31
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                      感谢接手剩下的章节,真是感慨,我还以为这本小说要卡一辈子的253了。很早就见过这个帖子了,本来以为是只是生肉帖,没想到在最后偷偷加了txt,发现得太晚了,十分感谢能为这本小说划上句号。为了方便以后的读者,我也把你的txt融进了置顶帖的整合里,还望不要介意。最后,完结撒花🌸


                      IP属地:辽宁来自Android客户端28楼2023-02-11 01:16
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