久しぶりに田舎の実家で草むしりをしたら、すぐにプーンという音が襲ってきた。顔が手が首筋が次々とかまれていく。かゆい。今年もまた、蚊の季節だ▼
「わたくしは、蚊に攻められているのである」。明治の作家小泉八雲の随筆の一文を思い浮かべる。当時、東京の八雲邸近くには5、6種類の蚊がいた。このうち「全身に銀色の斑点と縞目(しまめ)のある、小さな針みたいなやつ」が「容易ならぬ豪敵」だったと憎々しげに書いている▼
はて、八雲を悩ませたのは何という蚊だったのか。東京大学助教の三條場千寿(さんじょうばちず)さんに推理をお願いすると、最も身近なヒトスジシマカの疑いが濃厚だという。その共著『あなたは嫌いかもしれないけど、とってもおもしろい蚊の話』によれば「根っからの都会っ子」だとか▼
日本にいる蚊は100種以上、世界では3600種。花の蜜が何より好きなやつ、蚊を食べる輩(やから)も。研究熱が高じて蚊を「美しい」とさえ感じるという三條場さんの蚊話は驚くことばかりだった。いかに蚊について知らなかったか▼
世界に目を転じれば、蚊は「人類最大の敵」とまで言われる危険な存在。マラリアの死者は世界で年間40万人に上る。しかも、地球温暖化で生息地は年々広がっている▼
それでも蚊を絶滅させるようなことはできないと八雲は書いた。いつの日か蚊に生まれ変わり「刺すような歌をうたいながら、自分の知っている人たちを嚙(か)みに」いきたいとも。安全な共存しか道はないということか。かゆくても。
「わたくしは、蚊に攻められているのである」。明治の作家小泉八雲の随筆の一文を思い浮かべる。当時、東京の八雲邸近くには5、6種類の蚊がいた。このうち「全身に銀色の斑点と縞目(しまめ)のある、小さな針みたいなやつ」が「容易ならぬ豪敵」だったと憎々しげに書いている▼
はて、八雲を悩ませたのは何という蚊だったのか。東京大学助教の三條場千寿(さんじょうばちず)さんに推理をお願いすると、最も身近なヒトスジシマカの疑いが濃厚だという。その共著『あなたは嫌いかもしれないけど、とってもおもしろい蚊の話』によれば「根っからの都会っ子」だとか▼
日本にいる蚊は100種以上、世界では3600種。花の蜜が何より好きなやつ、蚊を食べる輩(やから)も。研究熱が高じて蚊を「美しい」とさえ感じるという三條場さんの蚊話は驚くことばかりだった。いかに蚊について知らなかったか▼
世界に目を転じれば、蚊は「人類最大の敵」とまで言われる危険な存在。マラリアの死者は世界で年間40万人に上る。しかも、地球温暖化で生息地は年々広がっている▼
それでも蚊を絶滅させるようなことはできないと八雲は書いた。いつの日か蚊に生まれ変わり「刺すような歌をうたいながら、自分の知っている人たちを嚙(か)みに」いきたいとも。安全な共存しか道はないということか。かゆくても。
