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回复:【生肉】235-更新

只看楼主收藏回复

 自分の身胜手さに苦笑しながらも、悪い気分ではなかった。
 何か问题が起こっているのだとしても。
 これからどんな高い壁が立ちはだかろうとも。
 ローゼマリー様がオレを爱してくれているのなら、それでいい。
 どんな困难な道でも切り开いて、この方の元まで辿り着いてみせよう。
 ただ、とりあえず。
 言质を取る事くらいは、许されるだろうか。
「ローゼマリー様?」
 赤く染まっている耳に、直接声を注ぎ込む。
 小さく震えてから颜を上げた。泣いて充血した目のせいもあって、ウサギみたいで爱らしい。
 今度はコメカミに唇を押し当てる。ひょ、と小さな声で鸣くのが更に小动物めいていて、つい笑み崩れてしまった。
 反応が可爱らしいという理由で、唇をくっつけたまま喋るオレは、どうしようもない男だと思う。
「贵方がまだ早いと感じているのなら、正直に言って。いつまでだって待ちますから」
 表面上だけ、物わかりの良い男のフリをしてみる。
 惊きに瞠られた瞳に、不気味なほどに柔らかい笑みを浮かべるオレが映った。
 いくら见舞いという名目があっても、男と二人きりになった时点で、既にローゼマリー様の退路は闭ざされている。
 その上密着して、何度も口付けているのだから、诚実な彼女はもう、他の男の手は取れないだろう。
 逃げないのなら、追い诘めたりしない。
 待てというのなら、いつまででも待とう。
 い・つ・か・が约束されているのなら。
 オレの病んだ思考など欠片も気付いた様子もなく、ローゼマリー様は何か言いたげな目でオレを见る。
 おや、とオレは首を倾げた。
 オレが用意した见せかけの逃げ道を选んでくれると思ったのに。
 今は颔いてくれるだけで、オレは引ける。あくまで期间限定的なものだが。
「姫君?」
「……」
 返事はない。ただ小さな手が缒るように、オレの胸元をぎゅっと握る。
 上から包み込むように手を重ねると、震えている事に気付いた。
「ひめ、」
「……です」
 消え入りそうな声で何事かを呟いた后、覚悟を决めたかのように颜を上げる。
 真っ直ぐな视线に射抜かれて、无様にたじろいだ。
「いやです。もう待ちたくありません」
「……え?」
「私が*込みしていたのに、我尽言ってごめんなさい。もう、颜が肿れていて耻ずかしいとか言いませんから、先延ばしにしないでください」
「……颜?」
 全く话についていけないオレは、たまたま头が拾った単语を缲り返す。
 颜が耻ずかしい?
 确かに目元が肿れて、小さな鼻の头と耳は赤くなっているが、それの何が问题なんだろう。可爱い部分と美しい部分しか见つけられないのに。
「くだらない理由で、伤付けてごめんなさい」
「姫君」
「贵方が好きです」
「……っ」
 息が止まるかと思った。
 小贤しい罠をしかけるオレの丑さをものともせずに、ただ真っ直ぐに感情を向けてくれる浊りない瞳に、致命伤を负わされた。
「ずっと、ずっと、贵方に恋しています」
 なんて、绮丽な人なんだろうと、马鹿みたいに见惚れる。
 煌めく髪、宝石のような瞳、整った颜かたちよりも、魂の在り方が一番美しい。この方がどんな姿になっても、见つけ出せると、根拠のない自信すらある。
 こんなひと、世に二人といるはずがないから。
「どうか私を、贵方のお嫁さんに……」
 勇気を振り绞って告白をしてくれている唇に、己の唇を重ねて言叶を封じる。
 虚を冲かれたように瞬く瞳をゼロ距离で堪能したいのに、近过ぎて焦点が合わないのが残念だ。
 しっとりと合わせた唇を、何度か啄んだ。
 呆気に取られて薄く开いたままのソレに名残惜しさを感じながら、ゆっくり离れる。
「すみません。でも、それだけはオレに言わせてください」
 ローゼマリー様の両手を掬いあげて、指先に口付ける。
 さっきまでの雄姿から一転、迷子のように頼りない表情で戸惑う彼女と视线を合わせた。
「ローゼマリー・フォン・ヴェルファルト殿下」
 呼びかけると、紧张した面持ちで背筋を正す。
 花开くように美しい乙女に成长したのに、その眼差しだけは変わりない。
 真っ直ぐに、ひたむきに、爱情を向けてくれるその目に、オレがどれほど救われてきたか。
 成长しても追いかけてくれるその眼差しに、どれほどオレが安堵したか。
 一生かけてもきっと、伝えきれない。
 オレが贵方を、どれだけ爱しているかも。
「どうかオレと、结婚していただけませんか」
「……っ」


IP属地:广东来自Android客户端16楼2021-07-06 22:10
回复
     震えていた指先が、ぎゅっとオレの手を握り返す。
     息を诘めたローゼマリー様は、くしゃりと颜を歪める。目*に溜まっていた涙が零れ落ちて、頬を伝い落ちた。
     小さな体がぶつかるみたいに腕の中に飞び込んでくる。
    「はいっ……!」
     感极まったように震えた声を、大粒の涙を零しながら笑うその颜を、オレは一生忘れないだろう。
     


    IP属地:广东来自Android客户端17楼2021-07-06 22:10
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      2026-01-12 01:48:44
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      242
      引き続き砂糖増量回です。胸焼けしている方は回避推奨。
      転生王女の睦み。
       夢みたいだ。
       泣きすぎて痛み始めた頭で、ぼんやりとそんな事を思う。
       異性として見られないと言われ、泣いていた頃の小さな私に教えてあげたい。
       貴方はこれから何度も、儘ならない恋に泣くだろうけど、諦めずに頑張って。
       全部、無駄にはならないから。貴方の歩く道はちゃんと、レオンハルト様の元に繋がっているから、って。
       ひく、としゃくりを上げながら目元を手で擦ろうとすると、やんわりと止められる。
      「擦っては駄目です。後でもっと腫れてしまいますよ」
       蕩けそうな顔で、レオンハルト様は私に微笑む。
       寝台横のテーブルに置かれた洗面器に手拭を浸し、絞る様子を眺めながら、私は何度目かになる感動を覚えていた。
       優しい。
       レオンハルト様は昔からずっと優しかったけれど、今までとは距離感が違う。
       手のかかる妹の世話を焼くようなソレと似ていながらも、はっきりと別種だと分かる。甘やかすような仕草と声に、改めて、恋人になれたんだなって実感出来た。
       いや、違う。恋人じゃなくて……婚約者。
       レオンハルト様の隣に並んで、同じ方向を見る事が許される。
       当たり前みたいに、共に歩む未来を話せる立場を手に入れたんだ。
       夢みたい。
       そっと胸に手を当てて、もう一度、同じ言葉を胸中で繰り返す。
       濡れた手拭いを手に、私の方を向き直ったレオンハルト様をじっと見つめる。少し不思議そうに首を傾げた彼は、涙の跡をそっと拭ってくれた。
      「どうかしましたか?」
       問いかけに、ゆるく頭を振る。
       手拭い越しの大きな手に寄り添うように首を傾け、目を閉じた。
       この幸福感が幻ではないのだと実感したくて、熱に擦り寄る。
      「……っ」
       息を呑む音がした気がした。
       同時にレオンハルト様の手も強張る。
       大きな手が優しく撫でてくれるのが気持ち良かったのに、固まってしまって動く様子がない。
       駄目だった……?
       鬱陶しかったかな……。
       薄目を開けて、レオンハルト様を窺い見ようとした時、手が動いた。
       べしゃりと、濡れた手拭いが床に落ちる。
       音に驚いて目を見開くと視界一杯に、レオンハルト様の顔があった。
      「……」
      「……」
       唇が触れそうな距離で、無言のまま見つめ合う。
       何とも言えない微妙な空気が流れた。
       ど、どうしよう……。
       これは目を開けるタイミングを完全に間違っているよね。
       色っぽいイベントとは無縁で十五年間駆け抜けてきたから、とんでもない失敗してしまった。
       今からでも、目を瞑ったら間に合うかな。
       ……いやでも、違ったらどうしよう。ばっちこい! と目を閉じてから、実は目元の腫れを確認してくれていただけだとかオチがついたら、たぶん私は死ぬ。恥ずかしくて死ぬ。
       グルグルと悩んでいる間に、レオンハルト様は離れてしまう。
      「……すみません。無意識でした」
       こほん、と咳払いをして身を引いた。
       もう触れないとアピールするみたいに、両手を軽く上げながら。
      「え?」
       何が無意識だったんだろう。
       問いかけるように見上げると、レオンハルト様の目元がさっと朱に染まる。片手で口元を覆い隠しながら、視線を逸らした。
      「触れても許されるんだと思ったら、抑えが利かなくて」
      「!」
       びびっと、頭の先からつま先まで衝撃が走る。
       全力疾走したみたいに、心臓が煩い。滲む汗のにおいを気にする余裕すらなかった。
       触れたいと思ってくれているのなら、存分にどうぞと言いたいけれど、それはあまりにもはしたない。
       恋愛初心者である私が受け止めきれるとも思えなかったし。たぶん早々に脳がショートする。
       でも、触れてもらえなくなるのは嫌だ。
       私はレオンハルト様の服の裾を、ちょんと摘んで引く。
       こんな子供っぽいアプローチに気付いて貰えるのか心配だったけど、どうやら杞憂みたいだ。
      「姫君……」
       少し上擦った声で呼ばれても、恥ずかしくて目を合わせられない。
       再び頬に触れた大きな手が、そっぽを向いたままの私を、やんわりと上向かせる。眦を赤く染めたレオンハルト様はくらりとするくらい色っぽくて、どうにかなりそう。
      「口付けても?」
      「っ……」
       聞かれても、恥ずかしくて答えられない。
       小さく頷くのが精いっぱいだった。
       目を伏せると、そっと唇が重なる。


      IP属地:广东来自Android客户端18楼2021-07-06 22:11
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         しっとりと触れ合うだけの口付けでも、心臓が痛いくらい脈打っている。
         初めてじゃないのに、息が苦しい。いつか慣れる日が来るとは、到底思えなかった。私はきっと、ずっとこの人にドキドキしていると思う。
         ほんの数秒の触れ合いでも私はくったりとしてしまった。
         お子様な私に合わせてくれているのかと思うと、有難くもあり、申し訳なくもある。
         大人なレオンハルト様には、こんなの幼子のスキンシップみたいなものだろう。満足には程遠いんじゃないかな。
         そんな事を考えているうちに、レオンハルト様は、力の抜けた私の体を抱き寄せて、寄り掛からせてくれた。
         甘えるように頬に頬を摺り寄せられたのが、くすぐったくて小さく震える。
        「レオンさま?」
        「姫君」
         弾んだ声で呼ばれて、ぱちくりと瞬いた。
        「はい」
        「姫君」
        「はい」
        「ローゼマリー様」
         何度も呼ばれて戸惑いながらも、返事をする。
         頬、額、鼻先と、順番にくっつけられて、まるで大型犬に懐かれているみたいだなと、失礼な感想を抱いた。
         意図は全く分からないけれど、柔らかな接触が気持ちよくて、幸せで。
         なんだか楽しくなってクスクス笑いながら目を開けると、すぐ傍にあった雄々しい美貌が、ふわりと緩んだ。
         さっきまでの色香を纏った笑みではなく、少年のような笑顔に虚を衝かれる。
         喜色満面と呼ぶのが相応しい、幸せそうな顔でレオンハルト様は口を開いた。
        「夢のようだ」
         さっきまで私が心の中で繰り返していた言葉が、レオンハルト様の唇から零れ落ちる。
        「レオンさま?」
        「貴方にこうして触れられて」
         そう言いながら、レオンハルト様は私の手を掬い上げた。手の甲を硬い親指が撫でて、きゅっと握り込まれた。
        「当たり前のように、寄り添う事を許されている今が奇跡のようで、夢を見ているような気分になるんです」
        「!」
         側頭部に寄り掛かる重みを感じる。
         レオンハルト様の言葉は、さっき私が感じていた事そのもので、嬉しくなった。
        「私も同じ事を考えていました」
        「貴方も?」
        「はい。お揃いですね」
         嬉しい気持ちのままに、にこにこと笑み崩れていると、レオンハルト様は眩しそうに目を細めた。
        「お揃いですか。……嬉しいな」
         私の顎に手がかかる。
         顔を傾けられて、「ん?」と頭を疑問が過る。レオンハルト様の墨色の瞳には、アホ面を晒す私が映っていた。
        「なら、この気持ちも同じでしょうか」
        「ど、どんな……?」
         うっそりと笑む彼の言葉の熱が、直接、唇に伝わる。
        「もう一回、したい」
         触れた唇の熱さに眩暈がした。


        IP属地:广东来自Android客户端19楼2021-07-06 22:12
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          翻译菌没了,啊~我死了


          IP属地:四川来自Android客户端20楼2021-07-10 09:47
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            我的主页【存文】汇总了机翻内容


            IP属地:广东来自Android客户端21楼2021-07-10 23:25
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              243
              ※近衛騎士団長、レオンハルト・フォン・オルセイン視点となります。
              ころころ視点が変わってしまって申し訳ございません。
              読みづらいでしょうが、お付き合いいただけたら幸いです。
              騎士団長の反省。
               拒否されないのを良い事に、柔らかな唇を堪能する。
               角度を変えて何度も触れ合わせていると、苦しくなったのか、胸をとんと弱い力で叩かれた。
               惜しみながらも顔を離すと、詰めていた息を吐き出して深呼吸を繰り返す。
               呼吸を整えたローゼマリー様は、抗議するようにオレを見る。けれど真っ赤な顔で、且つ涙目で睨まれても怖くない。
               寧ろ誘われているようだと、なんとも身勝手な感想を抱いた。
              「大丈夫ですか?」
               苦しそうなローゼマリー様の背を擦る。
               オレが原因だというのに、なんとも厚顔無恥な発言だと思う。それなのに彼女は責める事なく、小さく頷く。
               本当に、可愛らしい。
               お前の所為だと怒っていいのに。
               困った顔をしたローゼマリー様は、言葉を選ぶように暫し逡巡していた。
               大きな目が、何度か瞬きを繰り返す。
              「レオン様……その、出来ればでいいのですが」
              「はい」
               なんでしょうと笑顔で問い返すと、怯んだ様子を見せた。
               オレの視線から逃れるように俯いた拍子に、髪が肩口に流れて、白い項が少しだけ覗く。きゅっと胸元で小さな手が握りしめられた。
              「少し、手加減をしていただけると嬉しいです……」
               搔き消えてしまいそうなか細い声で、呟く。
               オレの眼前に晒された項が赤く染まっているのを見た瞬間、くらりと眩暈がした。
               その次にオレの取った行動は、どの角度から見ても擁護のしようがない。
               理性が本能に負けた故の暴挙。このまま牢にぶちこまれて然るべき悪行。
               オレは吸い寄せられるように、色付いた項に口付けた。
              「みぎゃっ⁉」
               ローゼマリー様の体が大きく跳ねて、しっぽを踏みつけられた猫のような悲鳴を上げる。
              「れ、れれれ、レオッ……⁉」
               咄嗟に項を手で隠しながら、涙目で振り返る顔を見て我に返った。
               まずい、と蒼褪めるのと同時に、ドゴンと派手な音が鳴る。
               廊下側、つまり扉の外から聞こえた音にローゼマリー様は再び体を揺らす。
              「なにごと……?」
               大きな音に気を取られて、オレの愚行の衝撃が薄れたらしい。きょとんとしながら呟くローゼマリー様から、オレは体を離した。
               これ以上引っ付いていたら、何をしでかすか自分でも分からない。
              「何の音でしょうか?」
              「……抗議の音でしょう」
               首を傾げるローゼマリー様から視線を逸らし、乾いた笑いを零す。
               思い当たる節がない彼女は、「こうぎ?」と不思議そうな顔をしている。
               大変可愛らしいので、そのままでいてほしい。
              「長時間、居座ってしまい申し訳ございません。そろそろ失礼致します」
              「あ、……はい」
               寂しそうに顔を曇らせるのを見て、浮かしかけた腰を再び下ろしたくなる。
               けれど廊下で待ち構えているであろう部下を、このまま放っておくのは得策ではない。時間が経てば落ち着くどころか、悪化するだろう。
               ローゼマリー様の手に手を重ねて、耳元で「また来ます」と告げる。
               恥じらうお顔をずっと眺めていたいという誘惑を断ち切り、部屋から出た。
              「…………」
               部屋を出て一番に目についたのは、蒼褪めた顔で距離を取っている近衛騎士。
               彼の視線の先。壁に拳を押し付けたまま、項垂れている男――クラウスを見て、オレは溜息を吐き出した。
               普段の爽やかな好青年の仮面が剥がれ落ちるどころか、木っ端みじんに砕けている。
              「……クラウス」
               呼びかけると、項垂れた姿勢のまま、ぐりんと顔だけこちらを向く。
               本来は新緑の色をしている瞳が暗く淀み、止めどなく流れ落ちる涙が頬を濡らしていた。
              「アンタには人間の心ってもんがないのか」
               呪詛じみた低い声に頭痛がした。
               扉の外まで会話は届かないはずだが、大きめの声は聞こえたのかもしれない。
               例えば、オレの暴挙によるローゼマリー様の小さな悲鳴とか。
               部屋の中に二人きりで、しかも可愛らしい悲鳴が聞こえたら、中の様子を勘繰りたくもなるだろう。オレがローゼマリー様に手を出していないかと。
               ……邪推ではなく、事実なのがまた、如何ともしがたい。
               ローゼマリー様にだけでなく、部下達にも申し訳ない事をした。
               特に、主人を一途に慕うクラウスに対し、あまりにも配慮に欠けた行動だった。
              「すまん」


              IP属地:广东来自Android客户端22楼2021-07-18 19:02
              回复
                だから言い訳はせずに、飾り気のない謝罪だけ告げる。
                「っ……!」
                 勢いよく体を起こしたクラウスは、オレと距離を詰めて胸倉を掴む。
                「ちょ、待った! クラウス‼」
                 クラウスの同期である近衛騎士、デニスが慌てて止めに入ろうとするが、オレはそれを視線で制す。
                「クラウス」
                「…………」
                 正面から視線を合わせて呼びかけても返事はない。憎悪の籠った視線だけが、雄弁にオレへと感情を伝えてくる。
                 苦情も恨み言も、全て受け止めるつもりだ。しかし、ここでは場所が悪すぎる。
                「まず場所を移すぞ」
                 醜聞となるだけでなく、扉の向こう側にいる大切な人に、心配をかけてしまう。
                 言葉にせずとも意図は伝わったようだ。歯を食いしばったクラウスは、数秒の沈黙の後、突き放すように手を離した。
                「オレの執務室でいいか」
                 乱れた襟元を正してから問う。
                 涙を乱暴に袖口で拭ったクラウスは、視線を合わせないまま頷く。
                「デニス。すまないが、殿下の護衛を任せていいか」
                「かしこまりました」
                 クラウスを心配そうに見ていたデニスは、オレの視線に気づくと表情を引き締めた。
                「お任せください。蟻一匹通しません」
                 凛々しい顔で言い切ったデニスに、オレは頷く。
                「頼む」
                 執務室に移動する途中も、そして到着してからも、クラウスは一言も喋らなかった。
                 ソファに座るよう促すと、素直に腰を下ろす。道中にどんな心境の変化があったのかは知らないが、さっきまでの勢いは削がれていた。
                 感情がごっそり抜け落ちた無表情で俯くクラウスの目からは、相変わらず滂沱の涙が流れ落ちている。
                 気持ちを整理しているような様子に、声を掛けるのを躊躇った。
                 執務机の上に用意されていた水差しとグラス、それから手拭きを持って戻る。
                 グラスに水を注いでクラウスの前に置く。
                 手拭いを差し出すと、俯いたまま受け取った。しかし涙を拭く事はなく、前屈みで手はだらんと落ちた体勢のまま動かなくなる。
                 向かいの席に腰を下ろしたオレは、ただ待つ事にした。
                「……お慕いしておりました」
                 長い沈黙の後、クラウスはぽつりと呟く。
                 誰を、とは言わなくても脳裏に浮かぶのはただ一人。オレは言葉を挟む事なく、クラウスの次の言葉を待つ。
                「ですが、恋ではない」
                 俯いたままのクラウスは、オレに話しかけているというよりは、独り言を吐いているようだった。
                 まるで己に言い聞かせるように。


                IP属地:广东来自Android客户端23楼2021-07-18 19:03
                回复
                  2026-01-12 01:42:44
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                  谢谢楼主~


                  IP属地:德国来自iPhone客户端24楼2021-07-20 23:36
                  回复
                    想问问生肉哪里看哇!


                    IP属地:吉林来自iPhone客户端25楼2021-07-27 22:43
                    收起回复
                      靠有道+以前那点功底看完啦!!!感谢楼主!!!(比心)


                      IP属地:吉林来自iPhone客户端26楼2021-07-27 23:28
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                        244
                        ※ローゼマリー付護衛騎士 クラウス・フォン・ベールマー視点となります。
                        護衛騎士の吐露。
                         恋ではない、と独り言を繰り返す。
                        「クラウス」
                         団長の気遣うような眼差しと声に、悪意は感じられない。優越感さえ欠片も見つけられないのに、酷く不快だった。
                         頬が濡れる感覚が鬱陶しくて、乱暴に拭いながらふと思う。
                         何故、不快なんだと。
                         顔を上げて、真向いに座る男の顔を見た。
                         レオンハルト・フォン・オルセインは、容姿と家柄だけでなく、実力にも恵まれた非常にムカつく男である。
                         しかし、生まれ持った能力の高さに胡坐をかく事はしない。驕り高ぶらずに努力を重ね、下の人間も気遣える誠実さと生真面目さをも兼ね備えていた。
                         要は、出来過ぎて嫌味な男。
                         だがそれは、オレの個人的な感想だ。
                         ローゼマリー様を託す事に不足があるかと問われれば、否と答えるだろう。
                         国一番と呼んでも差し支えのない優秀な男で、且つ、性格にも問題はない。
                         それにローゼマリー様を、とても大切にしている。
                         魔王という脅威を前にして一歩も引かず、見事、ローゼマリー様を取り戻したと聞く。
                         解決するまで地べたを這いずっていた、役立たずのオレとは違う。
                         自嘲に口の端を歪めながら思う。
                         あの方の為なら何でも出来ると嘯うそぶいておきながら、実際には何も出来なかった。
                         そんなオレには口を挟む資格さえない。そんなの、嫌というほど分かっている。
                         それなのに何故オレは、こんなにも苦しい。
                         胸に風穴が空いたかのような喪失感と、深い悲しみが胸を占めた。
                         ズキズキと鋭い痛みを訴える胸を押さえながら、首を傾げる。
                         おかしい。
                         大切な主人の長い初恋がようやく成就したのだから、祝いこそすれ、嘆く理由なんてないはずだ。
                         ローゼマリー様が団長を一途に慕う姿を、オレはずっと傍で見守ってきた。
                         今も目を閉じればすぐに思い返せる。
                         出会ったばかりの頃のお姿を。
                         小さな頃のローゼマリー様は、教会の壁に描かれた天使のように愛らしい姿でありながら、とても聡明で大人びた方だった。
                         微笑むだけで誰もが跪き、願い事を我先に叶えようとするだろうに、容姿を一切武器にしない気高さ。
                         知識が豊富で頭の回転も速いのに、時間が空けば本を読み、教師に教えを請おうとする勤勉さ。
                         弟君にとても慕われているのに甘やかさず、弟君の将来の為にと心を鬼にして突き放す、清廉さ。そして真っ直ぐな性根故に、真正面からぶつかって傷付く不器用さ。
                         全てが尊く、美しい。
                         ローゼマリー様の専属護衛に配属されてすぐに、オレはかの方に心酔した。
                         謙虚な御方だから、オレが褒め称える度にとても嫌そうなお顔をされている事には気付いていたけれど、控えようとは思わなかった。
                         主人に不快な思いをさせるなど以ての外だという考えも、頭の隅にある。けれど、下級貴族どころか庶民にさえ優しいあの方から、そんな表情を引き出せるのはオレだけだという誘惑には抗い難い。
                        『クラウス』
                         呆れた顔で、時には怒った顔で。
                         オレを呼んでくださる度に、痺れるような喜びが全身を満たす。
                        『クラウス』
                         少し成長したローゼマリー様が、心配そうにオレを呼ぶ。
                         今考えると自分を殴り飛ばしたくなるような失敗を繰り返し、少しずつ信頼していただけるようになった。
                         深窓の令嬢のような容姿でありながら、実は行動力の塊であるローゼマリー様は、どんな困難でも自分一人の力で解決しなければならないと思っている節がある。
                         無謀にも突っ込んでいく姿に、何度心臓を潰されかかった事か。
                         そんな御方が、少しだけ頼るようになってくださった。
                         オレは自身の成長や昇進よりも、その事がとても嬉しくて誇らしい。
                        『クラウス』
                         長い旅から帰還されたローゼマリー様は、とても美しく成長されていた。
                         硬いつぼみが綻ぶように、元の美しさを損なう事無く鮮やかに花開く。
                         外の世界を知ったローゼマリー様は、良い方向に変わった。
                         頑固で潔癖だった部分の角が取れて、柔軟で強かになった。
                         肩の力が良い具合に抜けて、人を頼る事を覚えた。
                         表情が豊かになって、より美しくなった。
                         特に喜色があふれ出したような微笑は、誰もが振り返って……。
                        「……」
                         無言のまま、ギリっと、胸に当てていた手に力を込めて爪を立てる。
                         駄目だと思った。
                         頭で理解する前に、止めろと心の奥から声がする。
                         気付くなと、誰かが叫んだ。
                         ローゼマリー様。


                        IP属地:广东来自Android客户端27楼2021-07-27 23:48
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                           ローゼマリー様。
                           オレは貴方が幼い頃からずっと、慕い続けておりました。
                           けれど安心してください。不埒な感情ではないのです。
                           誰よりも尊敬出来る御方。
                           誰よりも大切な御方。
                           傍に侍り、お守りする事が出来るのならそれ以上は求めません。
                           貴方が幸せであるのなら。貴方が元気で、笑っていてくださるのなら、それ以上は。
                          『クラウス』
                          「……っ、」
                           瞼の裏で微笑む姿を消したくて、両手で顔を覆う。
                           目から流れた液体が指の間をすり抜けて、零れ落ちる。目の奥が熱くて、頭が鈍い痛みを訴えた。
                           獣の唸り声じみた嗚咽が、喉の奥からせり上がる。
                          「恋ではない」
                           掠れた声で呪詛のように繰り返す。
                           これは。
                           こんなものは。あってはならぬ。
                           ローゼマリー様の輝かしい未来に、欠片も必要ない。
                           気付かれる前に、息の根を止めなければならない。
                           誰の為でもなく、オレ自身の為に。これから先も憂いなく、あの方の傍にいる為には。
                           これは、いらない。
                          「恋に――恋にしては、駄目なんだ」
                           抑え込みきれなくなった本音が、血を吐くような声となって零れ落ちる。
                           項垂れて慟哭するオレを、団長は何も言わずに見ていた。
                           どれくらい時間が経っただろうか。
                           涙は相変わらず馬鹿みたいに流れ続けているが、少しだけ落ち着いた頃。
                           団長は迷いながら口を開いた。
                          「……嫌味と取ってくれて構わないんだが」
                           酷く言い辛そうに前置きをして、団長は一度言葉を区切る。
                          「もし……万が一、姫君を奪われるとしたら、可能性が一番高いのはお前だと思った」
                          「……は?」
                           非常に嫌そうに顔を歪めながら、奪われるという言葉を告げる団長に気を取られていたが、その後に続く言葉の方が衝撃的だった。
                           呆けた頭で考える。
                           嫌味といえば、確かに。両想いになってから言うのはあまりにも嫌味だ。
                           それに、『もし』という仮定をつけても嫌だったらしく、万が一と言い直す辺りに、狭量さと傲慢さが見え隠れする。
                           もしやオレが考えているよりもずっと、このレオンハルト・フォン・オルセインという男は、不出来で人間臭いのではないだろうか。
                          「姫君はお前の前でだけ、肩の力を抜いている。素に一番近い」
                           不本意ながら、と付け加えそうな顔でそんな事を言う。
                          「お前相手なら姫君は取り繕わずに、拗ねたり怒ったりする。……きっと、くしゃみも欠伸する姿も見せてくれるんだろうな」
                           視線を足元へと落とした団長は、独白めいた言葉を零す。
                           それこそ取り繕った様子が一切ない彼の言葉は、本音だと思えた。小さな声で付け加えられた「羨ましいよ」という言葉にさえ、反感を抱かなかった。
                           勝者の余裕か、馬鹿にすんなとは、思わない。
                           ローゼマリー様に愛された唯一の男が、心の底からそう思っているのが分かったから。
                           オレは、ローゼマリー様にとって無価値な存在ではない。
                           団長とは別の意味でも、大切に思われている。
                           そう信じられた事で、心がすっと軽くなった。
                           報われたと、そう思った。
                           渡されたままだった手拭いで、濡れた頬を拭う。
                           もう涙は零れてくる事はなかった。
                          「そうですね。ずっと傍におりましたから、団長の知らないローゼマリー様を沢山知っています」
                          「……」
                           ぴくりと揺れた団長の顔が険しくなっていく。
                           心が狭いな、本当に。
                           遥か高みから見下ろしているのではなく、同じ場所に立ち、同じ方に振り回されているのだと気付いたら、見えてくるものが沢山あった。
                          「クラウスと、敬称なしで呼ばれていますし」
                          「…………」
                          「団長の傍にいると緊張して気疲れしてしまうようですが、オレと一緒の時は気を抜いて、たまに居眠りもされていますね」
                           団長の眉間の皺がどんどん深くなっていく。
                          「お前……いい性格しているな」
                          「お蔭様で」
                           にっこりと綺麗な笑顔で答えると、団長は数秒黙り込んだ後、長い溜息を吐き出した。
                           ざまぁみろ、と胸中で呟く。
                          「あ。ローゼマリー様の輿入れと同時に近衛騎士は辞職しますので、オルセイン伯爵家で雇い入れてくださいね」
                          「お断りだ」
                           憮然たる面持ちの団長に、胸がすく。
                           お優しい顔で『歓迎する』なんて言われるよりもずっと良い。
                           敵にも障害にもなり得ないのだと態度で示されるよりも、ずっと。
                          「ローゼマリー様に直接お願いされるのと、どちらが良いですか」
                           


                          IP属地:广东来自Android客户端28楼2021-07-27 23:50
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                             更に苦虫を噛み潰したような顔になるのが可笑しくて堪らなかった。


                            IP属地:广东来自Android客户端29楼2021-07-27 23:50
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                              2026-01-12 01:36:44
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                              転生王女の弟君。
                               私が倒れて三日。目を覚ましてから更に追加で五日が経過した。
                               お医者様の許可が出ないので、私は未だベッドの住人だ。とはいえ、そろそろ軽い運動なら平気だろうとの事なので、明日か明後日頃には庭を散策出来るようになると思う。
                               そしてそんなスローペースな私の日常とは真逆に、世界情勢は大きく動いた。
                               我が国の北東に位置する隣国、そして敵国でもあるラプター王国の国王がつい先日、崩御した。
                               死因は病死。夜会で倒れ、そのまま息を引き取ったという。
                               年齢は五十手前くらいだったと記憶しているが、どうやら元々、内臓を患っていたらしい。
                               バルナバス・フォン・メルクル陛下は美食家で且つ酒豪。日頃の不摂生が祟って体を壊したのだと噂されている。
                               王位継承権第一位は、嫡男である王太子殿下。
                               けれど王太子殿下は生まれつき体が弱く、まだ年若い。政務に携わった経験は無いに等しく、現在の混乱したラプター王国を治める力はないとご自身で判断されたらしい。王太子殿下は王位継承権を放棄。
                               代わりに新国王として即位したのは、亡くなった国王の実弟。エーミール・フォン・メルクル殿下だった。
                               国王陛下が前触れなく亡くなったとはいえ、異例とも言える速さでの王位継承。しかし驚く程、混乱は起こらなかったという。エーミール国王陛下の人徳なのか、国内の有力貴族はかの方を支持した。
                               国民も、経済制裁で飢えに怯える最中に、暴飲暴食が原因で亡くなったという噂の国王に思うところがあったのか、新国王の就任を歓迎しているらしい。
                               そして新国王は就任すると即座に、一部の貴族の粛清を開始した。
                               前国王を唆し、汚職に関わっていた者全ての貴族籍剥奪と財産の没収を決定。
                               その上でネーベル王国への使者を立て、全面的にラプター側の非を認めて謝罪した。
                               ここまでが、私が倒れてから一週間の出来事だというのだから、驚くなという方がおかしい。
                               流石に賠償等の話し合いは、まだ先の話になるみたいだけど、それにしてもだ。怒涛の展開が過ぎる。
                               まるで予め、取り決められていたようだ……なんて考えかけて止めた。
                               物騒な憶測を振り払う為に軽く頭を振った私は、遠くから聞こえる音にふと動きを止めた。
                              「……?」
                               足音、だろうか。
                               誰かが廊下を駆けているような荒い靴音が、だんだんと近づいてくる。
                               王城に勤めている侍女や騎士達は礼儀作法が身についているので、滅多な事では走ったりしない。
                               なにか、緊急事態でも起こらない限りは。
                               思わず身を固くした私と同じく、控えていた侍女達の顔が強張る。
                               緊張する私達がいる部屋の前で、足音が止まった。
                               クラウスは少し席を外しているが、別の近衛騎士がいるはずだ。
                               何やら対応に困っているような声が聞こえた後、扉が鳴った。
                               侍女の一人が扉を開け、近衛騎士と遣り取りしてから私を見る。
                              「ローゼマリー様。ヨハン殿下がお見えになっております」
                              「……え?」
                               すぐには言葉の意味を飲み込めずに、私は首を傾げた。
                               ん? んん?
                               聞き間違い? ヨハンって聞こえた気がするんだけど、そんなワケないよね。あの子はヴィント王国にいるはずだ。
                               帰国予定だなんて聞いてないし、手紙も届いていない。
                               私が頭上に疑問符を浮かべていると、扉の外から懐かしい声が聞こえた。
                              「姉様、僕です」
                              「……ヨハン?」
                               ぱちくりと瞬いてから呼ぶと、扉が大きく開いて人が飛び込んでくる。
                              「姉様……!」
                               波打つ黄金の髪と、長い睫毛に飾られた深い海色の瞳。母様似の華やかな美貌は小さな頃から変わらないが、すっと削げた頬やしっかりとした首筋は男性的な魅力がある。
                               身長はヴィント王国で再会した時よりも更に伸びて、たぶん百七十センチ前後はあると思う。細身ながらもしっかりと筋肉のついた体は逞しい。
                               身に纏っている紺色のコートのせいもあって、より大人びて見える。
                               少年から青年へと変わる年頃の弟は、少し見なかった間にまた成長していた。
                               足早にベッドの傍まで来たヨハンは、呆気にとられている私の手を取り、ずずいと顔を寄せる。御伽噺から抜け出した白馬の王子様みたいな美青年は、必死の形相で私を見た。
                              「姉様、け、けけけけ、けっこ……」
                               弟がバグった。
                               鶏の鳴き声みたいなものを発したヨハンは、途中で言葉を区切って深呼吸を繰り返している。何故か顔色も悪く、息も絶え絶えだ。
                               何がなんだか分からない。


                              IP属地:广东来自Android客户端30楼2021-07-27 23:51
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