『はあ、ありがとうございます.あの人たちがホテルの従業員ですか?」
“哦,谢谢。他们是酒店的服务员吗?”
旗の先で、私たちを指した。丸岡警部、阿部巡査、それに私。何ごとかと思ってやって来てみれば、従業員あつかいである。
顔を見あわせていると、貝塚さとみをしたがえて、涼子があらわれた.肌寒くないのか、パーカのままである.新来の客たち、とくに男性陣は口と目を全開にしたまま硬直した.涼子はというと、彼らには一瞥もくれない.
「お由紀!」
「由紀!」
「お涼!?」
「阿涼!?」
一同の最後にあらわれた黒髪にメガネの美女は、室町由紀子といった.涼子の同期で、警視庁警備部参事官、階級は警視である.
众人最后出现的黑发、戴眼镜的美女,名叫室町由纪子.。在凉子的同期,警视厅警备部参事官,阶级是警视.
「いいかげんにストーカー行為はやめなさいよ、お由紀.先月、シベリアで遇ったかと思うと、今度はこんなところまで」
“请你适可而止地停止跟踪狂行为吧,由纪。上个月在西伯利亚见过你,这次又到了这个地方。”
「あなたをストーキングするほど、暇でもないし悪趣味でもありません」
“我没有时间,也没有低级趣味跟踪你。”
「じゃ、何しに来たのよ、こんなところく」
“那么,你来这儿干什么?”
「大臣の警護に決まってます」
“这肯定是大臣的护卫。”
「国家公安委員長の?
“国家公安委员长?
「そう」
“是的。”
「あら、多忙なんじゃないの、警備部は。原発再稼働に反対するデモ隊のおばちゃんたちを弾圧するのにさ」
“哎呀,警备部不是很忙吗?要镇压反对重启核电站的抗议者阿姨们?”
「弾圧などしてません!」
“我没有镇压!”
「おや、そうかしら」
“哦,是吗?”
日本は民主国家です。デモは市民の正当な権利ですし、それを弾圧するなんて、独裁国家です」
日本是一个民主国家。 示威是市民的正当权利,镇压示威是独裁国家。”
「あら、政府の方針と、ずいぶんちがうのねえ。よけいなお世話だけど、それじゃ出世できないわよ」
“哎呀,这和政府的方针大不相同啊。虽然是多管闲事,但是那样的话就没法出人头地了”
涼子のいうとおり、何しろ防衛大臣が、首相官邸周辺の公道でおこなわれる合法的なデモを、「テロとおなじだ」と攻撃するのが、わが国の政府である.
正如凉子所说,防卫大臣在首相官邸周围的公路上进行的合法示威,以“等同于恐怖袭击”的方式进行攻击,这就是我国的政府.
旧い時代を知る丸岡警部によると、
据了解旧时代的丸冈警部说,
「おれが警官にうてなっったころは、大臣があんな発言したら、すぐ更送されるか、すくなくとも国会で平身低頭させられるかしたもんだけどねえ。野党もマスメディアも、すっかりおとなしくなっちまって、何だか気味が悪いくらいだよ
“我当警察的时候,大臣说了那样的话,马上就会被送去,至少会在国会上被逼得低头认错。在野党和大众媒体都变得很老实了,总觉得有点令人毛骨悚然。
気味が悪い。そう、この数年、日本は、私ていどの表現力では不可能な薄気味悪さにつつまれている。狂犬より性質の悪いネット右翼が、熱烈に首相を支持し、首相はそれを取りしまるどころか、けしかけたり煽ったりして、批判派や反対派の口封じに利用こしのごているのだ。時代が八〇年ばかり逆行したような昨今である。
恶心。没错,这几年来,日本一直被我所无法表达的阴郁所包围。性情比狂犬更恶劣的网络右翼,热烈地支持首相,首相不但没有将其取缔,反而煽动和煽动,用来封住批评派和反对派的嘴。现在的时代似乎背道而驰了八十年左右。
ただ、それはべつに室町由紀ひ子との責任ではない。ストレートに社会正義感の強い女だから、民主国家の警察官として、あるべき姿に忠実でいるだけだろう。
不过,这并不是室町由纪子的责任。 直截了当地说,她是一个社会正义感很强的女人,作为民主国家的警察,她只是忠于应有的姿态。
「わたしのことより、お涼はどうなの。ずいぶんラフな恰好してらっしゃるけど、何のお仕事?」
“比起我,阿凉怎么样了?你打扮得很随便,你做什么工作?“
精いっぱいの皮肉を、室町由紀子が放つと、涼子は舌を出してみせた。
室町由纪子竭尽全力的讽刺,凉子伸出了舌头。
「特定秘密よ。教えてあげないよーだ」
“特定秘密。我不会告诉你的。”
「やぁ、ホントに御縁がありますね」
“呀,真的很有缘啊。”
能天気な声がして、若い小柄な男が由紀子の後ろから顔を出した。由紀子の部下、岸本明である。
声音洪亮,一个身材矮小的年轻男子从由纪子身后探出头来。 他就是由纪子的部下岸本明。
「岸本かあ。あいつもよく、室町警視にくっついてますね」
“岸本啊。那家伙也经常跟着室町警视呢”
「ァン、類は友を呼ぶのよ
「恩,物以类聚』
「お気の毒です」
“真可怜。”
「だれ?だれが気の毒ですって!?」
“谁?你说谁可怜!?“”
涼子の柳眉が急角度に吊りあがった。
凉子的柳眉陡峭地吊了起来。
「君、まさかお由紀に同情してるんじゃないよね」
“你不会是在同情由纪吧?”
「いや、べつに同情なんて…」
“不,什么同情……”
「あいつのどこが気の毒だってのよ!具体的にいってごらん」
“那家伙哪里可怜!具体说说看!”