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【厨力放出A++】FR卷一翻译情况汇总

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目前只剩下HE君正在翻译的第一章,第二章的开头一部分,第四章的开头一部分。
其余都完成了翻译校对,并且对微博翻译君的翻译做了个人润色和补全。
附上对翻译君的敬意。@沖田総湿


IP属地:广东1楼2019-04-30 16:45回复
    附上第二章开头,招募野生汉化君。
    「ここ! ここ、行ってみたい! 牛すじチャーハン!」
     歩きながらスマホを顔面に突き出された。
     カリンからのランチのリクエストは、あらかじめチェックしておいたという中華料理店。
    「何処どこここ……知らないな……ええ、地下十二階? 水面下じゃん。大丈夫なの?」
    「中華、好きじゃろーエリち?」
    「まあそれなりには。でもここ……メニューにピリ辛くらいしか載ってなくない? 日本式中華でしょ?」
    「おー? ハアーン? 何が不満なんだよー。あんたに店選びまかせたら、とにかく真っ赤なギトギト物体か、片手で五秒で食えるやつか、その無限ループでしょうが。激辛系は《渋谷うち》のほうのカレンちゃんの店で十分なんだよ!」
     少年は渡されたスマホを両手で持ってのぞいている。その肩に両手を置くと、カリンはほとほと残念そうに語りかけた。
    「いいかー? 気をつけような少年。この味覚破壊女とつきあってると、体中の粘膜という粘膜をやられて、のたうちまわる羽目になるからな? 特に翌朝とか衝撃的だぞ」
    「うん」
    「そ、そういうカリンは、ジャンク系ばっかじゃん。口内炎になるし」
     店のチョイスにはやや不満が残るけれど、ちょうど買い物の用事があった地区にも近く好都合だった。
     それに複雑なこの街の深部を開拓するのは仕事の上でも無駄にはならない。地図上の情報としての知識はあっても、実際に訪れてみるとまるで印象が異なることばかりだったから。
     にぎやかな商業施設の集まる区画に向かって、立体通路を緩ゆるやかに降りていく。
     ちょっと遠回りルートだけれど、こっちのほうが断然見晴らしがいい。
     ビルの合間に見え隠れする人工のビーチには、海水客たちのパラソルが花壇のように咲いている。沖合にはウィンドサーフィンのカラフルな帆が浮かんでいるのが見えた。
     ふと、カリンが私の脇腹を指さす。
    「傷の方はどうかってさ」
    「……紅葉さんが?」
     カリンはうなずく。
     すると、霊れい体たい化かを解いて、バーサーカー鬼女紅葉がその実体を出現させた。
     魔力の凝縮した疑似物質の質量を受けてズシッ、と通路のつなぎ目がきしむ。
     通りがかった市民が、その異形にぎょっとする。電動スケートで快走していた青年はよろめいて転びそうになった。
    白しろ無む垢くの着物をひるがえし、歩幅を合わせのっしのっしと脇を進む紅葉。まるで通路の真ん中を仕切る壁が現れたようだ。
    「うん。実はまだ結構痛むんだけど、大丈夫だから。ありがとう」
     私は少し背伸びをしながら、彼女の首筋のあたりに手を置いた。
     頭部を前に垂れながら、私をじっと横目で凝視していた紅葉は、すぐまた霊体へと戻った。
    「……? コウヨウ?」
     少年はきょろきょろと周囲を見渡し、紅葉の巨体が占めていた空中をおそるおそる手でさぐる。
    「紅葉さんなら、ちゃんといるよ。カリンのそばにずっといるんだ。霊体化してるだけ」
    「───すごいね」
     少年は心底驚いて目を丸くしている。きみだって出来るはずなんだけどな。
     通常の召喚を受けたモザイク市のサーヴァントであれば、誰でも知っている常識以前の事実を、彼はまだ知らないようだった。
    「でしょー? エレベーターなんか絶対乗れないし、エスカレーターなんか逆流しちゃうんだぞ」
    「すごい」
    「他にほめる所がたくさんあるでしょ……」
     得意満面。我が事のように自慢するカリンは、さっと私を振り向いて言った。
    「で、そろそろこの子にさ、名前つけるべきっしょ? あんたが面倒みることになったわけだし。カレンちゃんがさっき言ってたのは、管理上の話でしょ。カッコカリ呼ばわりはさすがにないわ」
    「……呼ばわってたじゃん」
     とはいえカリンの提案はもっともだ。私も頭の隅では考えていた。
     ただ私が自信たっぷりに推理した真名サン=テグジュペリは、フジムラ先生からはやんわりと否定されてしまったわけで、そこで思考が一時停止してしまっていた。
    「そのテグジュペリ氏ってのはさ、ニックネームとか、ねーの?」
    「あるけど……サンテックス、とか言ったかな」
    「イマイチ可愛くないなー。王子さまとかどう?」
    「直球すぎでは……? 王子さまだってじゅうぶん呼びづらいでしょ」
     似合っているのは認める。けれど日頃から呼ぶ名前ではない気がする。カリンも腕組みして思案顔だ。
    「そういやそっか……。サーヴァントって貴族系すげー多いからまぎらわしいな。その子、フランス人かもなんでしょ。王子ってフランス語でいうとなに?」
    「自分で検索しろ……確か、ル・プチ・プランス?」
     のはずだ。『星の王子さま』の出版国フランスでの原題だから覚えていた。英語で言えば、ザ・リトル・プリンスになる。
    「ふむ。ならさ、プランくんでどうよ?」
    「プラン───」
     たぶん意味的には王子のままで変わらなそうだけど、だいぶ名前っぽくはなった。
     嘆息しつつ彼に向き直る。
    「きみ、しばらくプランって呼ばせてもらうからね? それに識別タグも持ってもらうから。迷子になられたりすると困るから」
     少年は意外にしっかりした様子でうなずいた。どこまで理解が及んでいるのかは、いまだによくわからない。


    IP属地:广东2楼2019-04-30 16:47
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      2025-10-12 16:54:47
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      IP属地:浙江来自Android客户端4楼2019-04-30 16:48
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         それはまあ基本事項くらいは知っている。
         聖杯トーナメントは、要するにスポーツだ。選手相互に遵じゅん守しゅする取り決めのルール内で競われる、安全で合法な遊戯。強力な武器を振るい、宝具すら開放する行為も、都市管理者を通じて《聖杯》に認められコントロールされている。
         つまり、暗闇を這い回る私からしてみれば、一番縁遠い世界の話だ。
        「ていうかギャラハッド……? 〝円卓の騎士〟が顕けん現げんしてたの? この《秋葉原》に居たってこと?」
         信じられない。とても信じがたい。
         ───〝聖杯の騎士〟ギャラハッド。〝湖の騎士〟ランスロットを父に持つ、アーサー王の円卓に連なる騎士のなかでもっとも高潔な聖なる騎士。
        (しかも、女……ですか? マジで……)
         先生からもその存在を聞かされたことが無かったのはショックだった。
         聖杯戦争ともゆかりの深い円卓の騎士は、強い魔力を持ち、都市の機能にすら影響を及ぼすからだ。しかもそれが〝聖杯の騎士〟とあれば尚更だ。
        「他の街から《秋葉原》に来てる連中がさ、どんだけ聖杯トーナメント目当てかって話」
        「開催期間中、ファンの馬鹿騒ぎでコロセウム周りの治安がめっちゃ悪くなるのは知ってる。大迷惑してるんだこっちは」
        「おう……それは大変だな」
        「だいたい───あんなの墓場だ。でっかい墓場だ」
         我知り顔のカリンが鬱うっ陶とうしく、いい加減に話題を打ち切りたくて、私はつい口を荒げてしまった。でもそれが私の本音だった。
        「聖杯トーナメントだなんて、馬鹿馬鹿しい! ただのゲームだ。遊びでしょ? 英霊を見世物にして、楽しめる人間の気が知れない。参加してる選手たちは、興こう行ぎょうに客を集めるための消耗品にされてる。彼らの大切な想いを歪めてさらけ出したり、人生を賭けて身につけた戦闘技術を軽々しく扱っていいわけがない。サーヴァントはもう、私たちの奴隷じゃないんだから!」
         カリンは一歩も引かず見返してくるが、私はそのまま捲まくし立てる。
        「───応援する観客は、自分も選手と一緒に戦ってる気になってるんだろうけど、それだって飽きるまでの話でしょ。安全な場所から眺めてるだけの人たちに、サーヴァントの気持ちなんてわかるわけないよ」
         彼ら英霊をわざわざ誤解させるために繰り広げられてる、醜みにくい茶番劇だ。
         一気に言い切るのをじっくり待ってから、カリンは言った。静かな怒りを込めて。
        「おめー、人が真剣にやってるもんを馬鹿にするなよ」
         ネクタイの端を摑まれ、ぐっと引き寄せられる。
         間近で燃えるカリンの瞳。
        「正直あたしは、別に聖杯トーナメントを真面目に見たことはねーけど。エリちのそんな態度は間違ってんぞ」
        「はあ?」
        「人がどれだけシリアスかなんて、他人が勝手に決めていいわけねーだろ」
        「……っ……」
         すぐに反論しようとしたが、彼女のまなざしには有無を言わせぬものがあった。
        「遊びだろうが見世物だろうが、そこにいる生身の人間が、全力で楽しませようとしてやってんだ。サーヴァントたちだって、ただ言われるがまま戦ってトーナメントを勝ち抜けるわけねーだろ? それじゃ何か、人が死んだら偉いのかよ。国が滅んだり、時代が変わるようなインパクトが無けりゃみんな子供だましのジョークかよ。あんたが熱心に勉強してる人類史に記憶されてるお仕事以外は、みんなくだらねーのか?」
        「……そうは言っては……」
        「一般ピーポーの手には絶対届かねーような、古くせー考えばっかり有り難がるのはやめろよ、エリち」
        「カリンにはわからないよ。あなたみたいな……新人類には」
         彼女ははっと息を吞んだ。
         瞳をひるませ、唇をかみしめる。そして小さくため息をついた。
        「───その通りだけどな」
        「………………」
         言ってはならないことを言ってしまった。腹立ちを押しのけて、苦い後悔の気持ちがもたげる。
        「……ごめん。言い過ぎた」
        「いいって、無理に謝んなって。そのくらいで謝ってたら何もしゃべれねーぞ」
         彼女は卑下しているわけではなかった。自分の口の悪さの自覚もあるのだろう。
         我慢も大の苦手だ。感情を爆発させてよく喧嘩もする。
         ───けれど絶対に、仲なか違たがいしたままにはしない。
         カリンは左手で私の右手を摑み取ると、彼女自身の胸にぎゅっと押し当てた。
         そうして彼女は残った右手を開いて、こちらにそっと差し出す。
        「…………カリン」
         差し出された手を私はおずおずと握り、自分の胸の合間に置いた。
         制服のブラウス越しにふれあう場所から、カリンの心臓の鼓動が伝わる。
         彼女にも私の鼓動が伝わる。
         これは私たち二人だけの、ささやかな儀式───慎つつましい約束だった。
         額と額を間近に寄せながら、しずかにつぶやく。
        「ぶつかんのはさ、まだよく解ってねーってことだろ」
        「……お互いのことが? それ、一生ムリな気がする」
        「それでいいじゃん」
         ニヤリと彼女は微笑んだ。
        「あーあ、以前まではあたしの方が背が高かったのにな」
        「……ほんのちょっとでしょ」
        「いきなり巨大化して追い越しやがって」
        「成長期だもの」
        「はぁ? あたしだってそうだっての!」
         今度は私も笑った。
         ───私は私。カリンはカリンだ。
         新人類とか〝聖杯〟とか、そんなのよりもずっと以前に、私たちは違う人間だってのはわかってる。
         異なる意見が衝突して当たり前だ。
         けれど、代わりはいない。お互いを失ってしまえばそれっきりだ。
        (……失う……?)
         はたとカリンが周囲を見渡す。私もぎょっとして首をめぐらした。
        「……チビ助はどこいった?」
        「あ、あれっ……!?」


        IP属地:广东6楼2019-04-30 16:55
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          それはまあ基本事項くらいは知っている。
           聖杯トーナメントは、要するにスポーツだ。選手相互に遵じゅん守しゅする取り決めのルール内で競われる、安全で合法な遊戯。強力な武器を振るい、宝具すら開放する行為も、都市管理者を通じて《聖杯》に認められコントロールされている。
           つまり、暗闇を這い回る私からしてみれば、一番縁遠い世界の話だ。
          「ていうかギャラハッド……? 〝円卓の騎士〟が顕けん現げんしてたの? この《秋葉原》に居たってこと?」
           信じられない。とても信じがたい。
           ───〝聖杯の騎士〟ギャラハッド。〝湖の騎士〟ランスロットを父に持つ、アーサー王の円卓に連なる騎士のなかでもっとも高潔な聖なる騎士。
          (しかも、女……ですか? マジで……)
           先生からもその存在を聞かされたことが無かったのはショックだった。
           聖杯戦争ともゆかりの深い円卓の騎士は、強い魔力を持ち、都市の機能にすら影響を及ぼすからだ。しかもそれが〝聖杯の騎士〟とあれば尚更だ。
          「他の街から《秋葉原》に来てる連中がさ、どんだけ聖杯トーナメント目当てかって話」
          「開催期間中、ファンの馬鹿騒ぎでコロセウム周りの治安がめっちゃ悪くなるのは知ってる。大迷惑してるんだこっちは」
          「おう……それは大変だな」
          「だいたい───あんなの墓場だ。でっかい墓場だ」
           我知り顔のカリンが鬱うっ陶とうしく、いい加減に話題を打ち切りたくて、私はつい口を荒げてしまった。でもそれが私の本音だった。
          「聖杯トーナメントだなんて、馬鹿馬鹿しい! ただのゲームだ。遊びでしょ? 英霊を見世物にして、楽しめる人間の気が知れない。参加してる選手たちは、興こう行ぎょうに客を集めるための消耗品にされてる。彼らの大切な想いを歪めてさらけ出したり、人生を賭けて身につけた戦闘技術を軽々しく扱っていいわけがない。サーヴァントはもう、私たちの奴隷じゃないんだから!」
           カリンは一歩も引かず見返してくるが、私はそのまま捲まくし立てる。
          「───応援する観客は、自分も選手と一緒に戦ってる気になってるんだろうけど、それだって飽きるまでの話でしょ。安全な場所から眺めてるだけの人たちに、サーヴァントの気持ちなんてわかるわけないよ」
           彼ら英霊をわざわざ誤解させるために繰り広げられてる、醜みにくい茶番劇だ。
           一気に言い切るのをじっくり待ってから、カリンは言った。静かな怒りを込めて。
          「おめー、人が真剣にやってるもんを馬鹿にするなよ」
           ネクタイの端を摑まれ、ぐっと引き寄せられる。
           間近で燃えるカリンの瞳。
          「正直あたしは、別に聖杯トーナメントを真面目に見たことはねーけど。エリちのそんな態度は間違ってんぞ」
          「はあ?」
          「人がどれだけシリアスかなんて、他人が勝手に決めていいわけねーだろ」
          「……っ……」
           すぐに反論しようとしたが、彼女のまなざしには有無を言わせぬものがあった。
          「遊びだろうが見世物だろうが、そこにいる生身の人間が、全力で楽しませようとしてやってんだ。サーヴァントたちだって、ただ言われるがまま戦ってトーナメントを勝ち抜けるわけねーだろ? それじゃ何か、人が死んだら偉いのかよ。国が滅んだり、時代が変わるようなインパクトが無けりゃみんな子供だましのジョークかよ。あんたが熱心に勉強してる人類史に記憶されてるお仕事以外は、みんなくだらねーのか?」
          「……そうは言っては……」
          「一般ピーポーの手には絶対届かねーような、古くせー考えばっかり有り難がるのはやめろよ、エリち」
          「カリンにはわからないよ。あなたみたいな……新人類には」
           彼女ははっと息を吞んだ。
           瞳をひるませ、唇をかみしめる。そして小さくため息をついた。
          「───その通りだけどな」
          「………………」
           言ってはならないことを言ってしまった。腹立ちを押しのけて、苦い後悔の気持ちがもたげる。
          「……ごめん。言い過ぎた」
          「いいって、無理に謝んなって。そのくらいで謝ってたら何もしゃべれねーぞ」
           彼女は卑下しているわけではなかった。自分の口の悪さの自覚もあるのだろう。
           我慢も大の苦手だ。感情を爆発させてよく喧嘩もする。
           ───けれど絶対に、仲なか違たがいしたままにはしない。
           カリンは左手で私の右手を摑み取ると、彼女自身の胸にぎゅっと押し当てた。
           そうして彼女は残った右手を開いて、こちらにそっと差し出す。
          「…………カリン」
           差し出された手を私はおずおずと握り、自分の胸の合間に置いた。
           制服のブラウス越しにふれあう場所から、カリンの心臓の鼓動が伝わる。
           彼女にも私の鼓動が伝わる。
           これは私たち二人だけの、ささやかな儀式───慎つつましい約束だった。
           額と額を間近に寄せながら、しずかにつぶやく。
          「ぶつかんのはさ、まだよく解ってねーってことだろ」
          「……お互いのことが? それ、一生ムリな気がする」
          「それでいいじゃん」
           ニヤリと彼女は微笑んだ。
          「あーあ、以前まではあたしの方が背が高かったのにな」
          「……ほんのちょっとでしょ」
          「いきなり巨大化して追い越しやがって」
          「成長期だもの」
          「はぁ? あたしだってそうだっての!」
           今度は私も笑った。
           ───私は私。カリンはカリンだ。
           新人類とか〝聖杯〟とか、そんなのよりもずっと以前に、私たちは違う人間だってのはわかってる。
           異なる意見が衝突して当たり前だ。
           けれど、代わりはいない。お互いを失ってしまえばそれっきりだ。
          (……失う……?)
           はたとカリンが周囲を見渡す。私もぎょっとして首をめぐらした。
          「……チビ助はどこいった?」
          「あ、あれっ……!?」

           駅前広場の雑踏の下で、プラン少年を見失ってしまった。
           スクリーンに気を取られ口論している間に、彼はどこかへ姿を消してしまった。
          「識別タグってのはどしたのさ、エリち」
          「う……実はまだ付けてなかった」
          「マジかばか……───」
           大慌てのやりとり中にカリンがふっと意識をそらす。
           発声せず霊体化中のサーヴァントと会話しているのだ。いわゆるテレパシーってやつ。
          「……あ~、モミもあたしらのやり取りが気になって、チビ助のほうまで見てなかったってさ」
           あちゃぁ……と自責の声を漏らし、カリンは《令呪》の現れた右手で額を抑えた。
           心苦しそうに頭を垂れる紅葉の姿が目に浮かぶ。
          「いやいや紅葉さんは悪くないよ? あーでも、しまったぁ……」
           サーヴァントを保護するのが私の当面の仕事だったのに。
           子守りとなんら変わらない……だなんて偉そうに高をくくった矢先にこれじゃ、無責任にもほどがある。
           例によってカリンは楽観的で、すぐ見つかるっしょ! なんて笑いながらも、手分けしての捜索に協力してくれた。


          IP属地:广东7楼2019-04-30 16:56
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            来自Android客户端9楼2019-04-30 16:58
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              IP属地:四川来自Android客户端10楼2019-04-30 17:00
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                 ───と、いつのまにか彼女、紅葉が私の隣りに姿を現していた。
                 私と同じように邪魔にならない場所で、腹をつけて寝そべりながら、ひっそりと演奏に耳を傾けている。
                 カリンはついに、ギターに合わせてステップを踏み、路上パフォーマーの真似事をはじめた。
                「……カリンの奴、そろそろ帰るって言ってたのに、いいのかな?」
                 と、そっと話しかけると紅葉は頭部を揺らし、かぎ爪で空中をひっかいた。
                「えっ、紅葉さんもギター弾けるの? あ……琴が得意だったんだ」
                 ───白状をすれば、私は鬼女紅葉の言葉を完璧に理解してるわけじゃない。
                 それなりにコミュニケーションが取れるのは、自分の前髪に装備している礼装アプリのおかげだ。
                 これまでの彼女との会話サンプルや、カリンがフォローしてくれた内容をベースに、発言の傾向を推測して、おおよその意味を礼装が提示してくれている。リアルタイムで手話を解析しながら翻訳しているようなものだ。
                 紅葉の場合は、はっきりと彼女自身に会話が通じているから特に翻訳精度が高い。
                 バーサーカークラスには付き物となる問題の一つだけれど、カリンはそれを気にしているふうには全然見えなかった。
                 マスターのカリン自身も、紅葉の意思は言葉として聞こえているのでは無いのだという。伝わってくるのは言葉以前のイメージなのだそうだ。
                 そしてこのアプリは、問題のプラン少年に対してはまったく通用せず、意味不明の示唆サジェストばかりを返すので結局対象から外してしまっていた。
                「ふーん。カリンて学校のダンスの授業とか得意なんだ? ていうかそんな教科あるんだ……で、またもや人が増えちゃったけど」
                 広場は結構な人垣になるほど盛り上がっていた。
                 集まった聴衆が、演奏とダンスにつられ足踏みの拍子を取っている。
                 人の輪の中心には、心の高揚と喜びを、そのまま軽快な身ごなしに変えて音楽に身をゆだねるカリン。
                 そんな彼女のダンスは、朽目のギターから新しいメロディを引き出し、さらに一つの楽器のように彼のハミングの声を重ねさせた。
                 すると今度は、負けじとばかりにカリンもまた、ララ、ラ、ララ、とスキャットを口ずさむ。あたしのほうがこの瞬間を本気で楽しんでる、あんたはその程度? と挑発するみたいに。
                (……勝てないよね。ホント)
                 うっすら汗ばみ、髪をはずませながら生き生きと踊るカリンの姿に、私まで引き込まれてしまう。
                 そんな折に、紅葉はぐる……と低く唸った。
                「え、いやナンパ……では無いと思うよ? あれはさ、カリンの冗談で───」
                 虚ろな眼光をたたえた紅葉の横顔からは、礼装アプリはそれ以上、何も読み取りはしなかった。
                 けれど私には、その表情はどこか物悲しく心配そうに見えた。
                 たぶんの話だけれど……鬼女の伝承に伝わる主役シテであり、悲劇のヒロインであり、無残に討ち取られる悪役でもある彼女を刺激するものがあったのだろう。
                 そんな外がい野やの思おも惑わくをよそにして、ギターの音色をヴェールのようにまとい、カリンは舞う。
                 楽しげに、のびやかに。朽くち目めの綴つづる詞ことばに応え、彼女もまた歌声を広場に響かせた。
                 少年はまたも熱心に拝聴している。音のすべてを聞き覚えてしまおうかとでも言うように。
                 そんな澄んだ視線の先で彼、朽目は、演奏を続けながらも、そういう癖くせなのか、その場にいることを拒むかのように僅わずかに目を背そむけ、伏しがちにしているのがちょっとだけ気になった。


                IP属地:广东12楼2019-04-30 17:01
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                  2025-10-12 16:48:47
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                  以上是卷二的未汉化部分,希望有汉化人员接手。


                  IP属地:广东13楼2019-04-30 17:02
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                    IP属地:上海来自Android客户端14楼2019-04-30 17:05
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                      IP属地:江苏来自Android客户端15楼2019-04-30 17:11
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                        IP属地:广东来自Android客户端16楼2019-04-30 17:15
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                          下面将是第四章的前半部分。
                           ───〝死神〟稼業を禁じられて数日が過ぎた。
                           先生、カレン・フジムラからの正式な依頼はクンドリーの事件以降、一つも無い。
                           都市情報網から優先的に通知されていた情報も提供を受けられなくなった。
                          《秋葉原》の都市結界が置かれた重要基点への立ち入りは禁じられ、霊脈の集中する神田明神や湯ゆ島しま聖せい堂どうの近きん辺ぺんにも自由には出入りできなくなった。
                           急に放り出されてしまった私はただの不登校児だ。しかも、真名不明、霊体化もできない面倒くさいサーヴァントを連れまわす。番犬の務めも果たせずに失敗した、いじけた一匹狼だ。
                           さいわい、この街はたいそうな観光都市であるからして、いつものリゾート着・兼スイムウェアさえ着まわしていれば、観光客たちに溶け込むことは簡単だ。
                           ただしその居心地は最悪に近い。何をするにもいたたまれない。
                          〝令呪狩り〟の続報も途絶えた。
                           いまだにおもてだった事件として扱われていないのが気がかりだ。
                           すでに解決して闇に葬られたわけではない、と私の勘は言っている。ただなりをひそめただけだ。
                          《渋谷》では「紛失した手首を探す女」「手首女」の噂が立った。学生たちの間で、ちょっとした都市アーバン・伝説フォークロアになっている。
                           そーいうの、噓から出たまことになるから、ぜひやめてほしい。ほんとやめてほしい。後始末をさせられるのはどうせ……いや、もうその仕事も無いのか。


                          IP属地:广东17楼2019-04-30 17:17
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                             そんなわけで、プラン少年を連れて、ぶらぶらと街を散歩するのが日課になる。
                             行った先で、かすかにチトセの痕跡を見つけることもあった。いっそ《秋葉原》を離れて、他の街に行ってみようかとも考えたりした。
                             少年は、いろいろなものに興味を示す。その傾向も多少わかってきた。
                             大道芸人のパフォーマンス、路上シンガー、スピードペインティングのアーティスト、そういった生なまの経験に触れるのが彼は好きでよく立ち止まった。
                             路上ギター弾きの朽くち目めのことがあったので、〝オタク〟ショップなるものにも連れていってみた。大量の美少女グッズのほかにも、男の子の好きそうな玩具やキャラクターグッズがうんざりするほど陳列されている。けれどそういったものには、彼は特に関心が無いようだ。
                            (商品とか製品じゃなく……オリジナルな〝モノ〟〝コト〟が好きなのかな……?)
                             ぼんやりと眠たげに、どこかまぶしそうに遠くを眺めている時には、見知らぬ〝ヒト〟をその瞳で追いかけているのだった。
                             ……ただ、天体望遠鏡を扱う専門店に来た時には反応が違って、いかにも既製品の天体写真ポスターの前に座り込んだまま何十分も動かなくなった。
                            「木星の写真だ?」
                            「この、めがさ、ずっとぼくをおいかけてきた」
                            「目……? ああ、大だい赤せき斑はんのこと」
                            「このほし、ほんとうに、とっても、おおきくて、おおきくてさ……」
                             少年は身震いをすると、頭上に載せていたゴーグルを下ろし、またガラス越しにポスターを見つめ直した。
                            「…………星、か……」
                             私が読ませてあげた『星の王子さま』の影響を受けてしまったんだろうか? 元々、天体としての星へのこだわりは窺うかがえたけれど、星を訪れるというストーリーは、確かに彼の中から生じたものだろうか?
                             それとも……まさか、そんなことってあるのだろうか。
                             私は彼を観察しながら、慎重に語って聞かせた。
                            「これってさ、もうずいぶん昔の写真だ。戦争の前のね。今はもう、木星に大赤斑は無いんだって。小さくなって消えちゃった」
                            「ふうん……」
                             少年はとてもやさしい顔をしてポスターの星に向かって微笑んだ。
                            「ねむってしまったのかしら。また、だれかがくるといいね」


                            IP属地:广东18楼2019-04-30 17:17
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                              2025-10-12 16:42:47
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                               ───そうして、聖杯トーナメントの開催日になった。
                               待ち構えていたわけではないけれど、私はコロセウムの前に立っていた。
                               コロセウムは海岸に面した《秋葉原》の外縁部にある。
                               巨大なスタジアムは周囲のビルを圧倒する存在感を放っていた。一つ一つが一個のビルほどもある背高いアーチが三段、四段と連なりあって楕円形の重厚な壁となり、内部の広大な闘技場を囲い込んでいる。
                               ただひたすらに人間が競い合うために作られた空間だ。古代ローマにおいて『パンとサーカスを』と詩人にも語られた、市民たちに与えられた正統な権利としての〝娯楽〟。その象徴。
                               観戦の同行者はプラン少年と、そしてカリン。
                               非常にありがた迷惑なことに、コハルは貴重な招待チケットを四シートぶんも用意してくれた。
                               サーヴァント同行を前提としたペアチケットという扱い。霊体化していれば、サーヴァントのチケットは不要だけれど、中継映像で満足せずわざわざ観戦に来るのだから、それはもう一人につき二席という単位が基本になる。のだけれど……。
                              「来ないね……」
                               開場時刻を二十分過ぎても、待ち人は来たらじ。
                               複数あるコロセウムへの入場口はどこも長蛇の列で大混雑している。このぶんだと試合開始までに着席できないかもしれない。
                               それでいっこうに構わなかったけれど、カリンはしびれを切らして叫んだ。
                              「ハイッ、はいオッケー! もう入ろうぜ!」
                              「あれあれー? いいんですかー、待たなくて大丈夫ですかー」
                              「いいっつーの! あんにゃろは、すっぽかしやがって……」
                               メッセージで確認を送ってもまったく音沙汰無しだったらしい。
                               待ちぼうけを食わされた相手とは、あのくたびれた雰囲気のギター弾き、朽くち目めのことだ。
                               私の手元に四枚のチケットが届いて、さてどうしようかと思案し、ひとまず手近なところへ連絡してみると、カリン自身はたいそうな乗り気で食いついてきた。が、彼女のパートナー紅葉は観戦を辞退。チケットが一枚余ってしまった。
                               数日前、私とカリンは《秋葉原》のまた別の路上で朽目と遭遇した。
                               あいかわらずの辛しん気きくさい芸風で、通行人から見向きもされていないのを見かねて、カリンが叱り飛ばしたのがことの発端。
                              「なあ、朽目サンてばさあ? 聖杯トーナメントの場内演出でも見て参考にしたらどうなんよ?」
                              「えー、俺は理解してくれる人だけが聴いてくれりゃさぁ……」
                              「大芸術家気取りかよ。墓ん中で言ってろ、ぶっ殺すぞ!」
                               と、買い言葉不在の一方的な売り言葉で、しまいには私からチケットを奪い取って彼の無精髭の顔面に叩きつけた。
                               さてカリンの真意が、ミュージシャンとしての彼の不ふ憫びんを憂うれえてのものなのか、元から彼を誘うことにあったのか。私は〝死神〟だけど鬼ではないからそれ以上は突っ込まない。
                               ……とはいえ、カリンのあては外れてしまったわけだ。
                               ぷんぷん怒り散らす彼女の後について、プラン少年の手を引きながら入場する。
                               どうにか場内指定のシートにたどりつく。
                               広く立体的な構造のスタジアム内部は、新鮮でけっこう面白い。
                               どうやら今日に限って入場が大混雑していたのは、入場の手荷物検査や身体チェックを厳重化したためらしい。係員が目を止めた客に対しては、当人の《令呪》のチェックまで行っていた。各所に立つ武装警備員の数もかなり目立つ。
                              (私も令呪のチェックをされたら面倒くさいことになっていた……招待チケットだからすんなり入れたのかな?)
                               ならば、私がハンニバルに直じき訴そした警告にも意味があったのかもしれない。主催者側が他地区で起きている無差別殺人事件の情報を独自に摑み、対処を迫られた可能性もあるけれど。
                              「ほい、お待たせー!」
                               カリンと、彼女に付き添っていたプラン少年がシートに戻ってきた。
                               腕いっぱいにナッツの袋やらドリンクやらを抱えている。私にも出来たての熱々のホットドッグを投げて寄越す。
                              「『パンとサーカス』のパンのほうか……って熱あッつ、熱あっつい」
                              「サーカスってハーフタイムのパフォーマンスか? なんかお粥のスタンドもあったけどよくわかんねーからやめといた」
                              「へえ……お粥? ……きみはまたその格好はさ」
                               少年は紙の帽子からメガホンから、わけもわからぬ様子で応援グッズを身につけていて準備万端だ。
                               思わず私が吹き出すと、カリンもしてやったりと笑った。
                               さっきの怒りっぷりとは打って変わりエンジョイしすぎだ。こういうカリンの切り替えの早さは見習ってもいい。
                               客席列の一番端だったシートの脇には、ぽっかりと非常用スペースがあり、紅葉の巨体でもなんとか入れそうだった。大柄なサーヴァントのためにも、そういう場所が用意されているのかもしれない。
                               そうするうちに、ひときわ場内音楽のボリュームが上がり、興奮を盛り上げるメロディが奏でられる。ちょうどいいタイミングで入場できたようだ。


                              IP属地:广东19楼2019-04-30 17:18
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