もっと心に責める思い出もある。衣服は焼けたのか、吹き飛んだのか、全 裸の人も少なからずいた。頭といわず、顔といわず、アスファルトをかぶっ たように、砂利様のものが黒くこびりつき、血で固まった人たちが多くいた。 私と同年輩のその少女も、頭から額にかけてアスファルト状になり、全裸の 皮膚が墨汁を浴びたように煤けて、乾いた血が全身をくまどっていた。 待合室の次の間の壁際に倒れて、動かなかった彼女が、何日目だったろ 小走りに過ぎようとした私のモンペの裾を、いきなりつかんだ。やせて傷つ いた体躯からは、想像もつかない強い力だった。焦点の定まらない顔を向けて言った
起こして、からだが痛い
あのとき、突如、私をわしづかみにした恐怖を、説明しようも、弁解しよ うもない。私には勇気が足らず、愛が足らず、からむ指を無意識に振りほどいていたのだった。
起こして、からだが痛い
あのとき、突如、私をわしづかみにした恐怖を、説明しようも、弁解しよ うもない。私には勇気が足らず、愛が足らず、からむ指を無意識に振りほどいていたのだった。











