――编集者として大切にしていることは
编集者になって9年ほどになりますが、漫画家として一番大切なのは絵の上手さじゃなくて「何を描きたいか」ということだと思っています。漫画は表现の手段でしかありません。别に歌が得意で表现できるならば歌で表现すればいい。多くの漫画家さんを见てきましたが、単纯に絵が上手で描きたいから漫画家になる人は伸びにくいですね。
担当の漫画家さんとの打ち合わせでも、作者が何を描きたいのか想像しながら原稿を読みます。読んだ后は自分なりの解釈を漫画家さんに话して、解釈と漫画家さんの表现したいことにずれがあれば、アドバイスをします。
もちろん、『进撃の巨人』の作者の谏山创さんにも描きたいことがありますが、直接明言するのは気耻ずかしいと思っているようです。読者が自由に考えるべきだと。ただ、身近で接していて思うのは、漫画のセオリーを外そうとしていますね。例えば、他の少年漫画よりも残酷なシーンが多くあります。
描きたいものを漫画家さんと一绪に见つけるのも、编集者として必要なことだと思います。ベテランの漫画家さんになると描きたいことが分かっているのですが、新人の漫画家さんはそもそも「何を描けばいいか」もよく分からないことが多い。まずは本当に描きたいことを一绪に考えながら见つける作业を手伝います。
具体的には、漫画家さんと漫画以外のことを话すことが大切です。いつも何を考えているか、好きなものは何か、何が嫌いかなど人间的な部分を闻いてあげる。话している最中に漫画家さんが描きたいことに気付くことがあるんですよ。难しい作业ですし、自分が上手く引き出せているのかも分かりません。毎回试行错误してやっています。
――主な仕事を教えてください
主な仕事は漫画家さんと打ち合わせするのですが、最近は『进撃の巨人』関连で他社の人との打ち合わせなどの方が多いです。アニメや企业とのコラボなど漫画以外で『进撃の巨人』をどう売り込むのか考えています。
『进撃の巨人』を売り込む上で気を付けていることは、『进撃の巨人』を大众化しすぎないことですね。连载はあと3、4年で终わる予定ですが、『进撃の巨人』は10年、いや50年语り継がれる作品だと思います。どこでも见られるようにすると、ただの消费财で终わってしまうのではないかと心配をしています。もちろん広く売り込むこととのバランスを取るのは悩ましいですけどね。
これは谏山さんも仆も一致した意见ですが、企业とのコラボをする线引きは、相手が『进撃の巨人』を面白がっているかです。ただ人気に乗っかるのではなく、キャラクターの性格や物语など作品を生かした企画ならば、コラボしています。
出社时间は漫画家さんが基本的に夜型なこともあり、昼间の2时ごろです。退社时间は夜の2时くらいが普通ですが、打ち合わせが长引いて朝までかかることも。土日は月に2、3回会社に行くこともありますが、あとは休みます。
原稿から情念感じる―谏山さんとの出会い
――『进撃の巨人』作者の谏山さんとの出会いを教えてください
谏山さんが新人のころに讲谈社に原稿を持ち込んできて、仆がその原稿を见たのが始まりですね。原稿から情念というか并々ならぬ思いが伝わってきて、目に留まりました。ただ絵や话の技术はまだまだだったので、2年间絵の练习をしてもらい、时々编集部に来てもらって助言をしました。
伟そうですが、実は『进撃の巨人』は売れると思っていて、连载前に谏山さんに初版100万部を目指そうと言いました。初版100万部は漫画では超人気作品です。谏山さんは惊きましたが、连载用のネームを読むととにかく面白かったのでいけると思いました。
――谏山さんとは普段どのようにやり取りしているのでしょうか
『进撃の巨人』は月刊连载ですから、月の初めに1周间から10日くらいネームという漫画の下书きの打ち合わせをします。谏山さんは讲谈社でネームを描くので、描き终わったら编集部に见せに来てくれます。
どのくらい手を入れるかは月によってまちまちで、先月打ち合わせしたものは面白くてほぼ修正しませんでした。连载当初のころは全ボツと言って全部书き直してもらうことがありましたが、この1、2年はないですね。
ネームを描き终わると谏山さんは実际に漫画を描き进めるので、会うことはほとんどないです。ただ漫画以外の打ち合わせもあるので2、3日に1回电话で连络を取ります。

――『进撃の巨人』で一番好きなシーンは何ですか
アニ・レオンハートというキャラクターが、主人公のエレン・イェーガーたちに自分の正体を明かすシーンが好きですね。もともとアニはエレンたちの仲间でしたが、正体に気付かれます。するとアニは「全く伤つくよ」という言叶で告白し始めるんですが、それがかっこいい。アニはエレンの仲间を何人も杀したんですよね。そんな裏切り者なのに「全く伤つくよ」というセリフにしたのは惊きでしたね。
――谏山さんはどんな人ですか
谦虚で本当に立派な人です。谏山さんは讲谈社で栄养ドリンクを何本も饮んで夜遅くまでネームを执笔することもあります。それでも朝帰宅する时に深々と头を下げて「遅くまで付き合ってくださりありがとうございました」と言ってくれるんですよ。
谏山さんは今や超売れっ子漫画家で、もし讲谈社から他社に移ると言えば讲谈社中がひっくり返るほど影响力があります。それなのに谦虚で见习いたいです。
漫画渍けの学生生活―编集者に至るまで
――どんな东大生生活を送っていましたか
漫画ばかりの生活でした。当时付き合っていた彼女の実家に入り浸っていたんですが、その子も漫画好きで一绪に漫画や小说を読んでいました。夕方に起きて、一绪に漫画を読んでゲームセンターに行って、帰って朝まで漫画読んで寝て......その缲り返しでしたね。二人で漫画吃茶で漫画を読みながら夜を明かすこともよくありました。
漫画は何でも読んでいて、雑志なら、ジャンプ、サンデー、マガジン、ヤングマガジン......15志くらい読んでいました。小说は1年で150册くらいだと思います。特に村上春树さんが好きで缲り返し読んでいました。
サークルも途中で辞めましたし、授业も真面目に受ける方ではなかったです。真面目な学生ではなかったですね。
――就活ではもともと出版志望だったんですか
こんな性格なのでもともと働きたくなかったですよ(笑)。ただ、生活はしなければならないので、「どんな条件なら働き続けられるか」を考えました。考えた条件は①転勤がない②早起きをしなくてよい③私服で出社できる――の三つ。この三つを満たすのが讲谈社でした。経済学部出身なので银行や商社も受けたんですが、三つ全てに当てはまらないですよね。そこしか受からなかったらどうしていたんでしょうね(笑)。
今、会社に行きたくないと思うことはないですし、毎日楽しく仕事しています。何千万部も売れる人気作品に携われる机会なんて今后はないですし、やりがいを感じています。
――川洼さん自身の未来や『进撃の巨人』の今后は
正直大それた目标があるわけでもないですが、担当になった漫画をできるだけ长期连载させたいですね。谏山さんが『进撃の巨人』の连载まで3年以上かかったように、漫画って连载までに1年以上准备します。でも终わるのは一瞬で、1话目の人気が最下位ならば打ち切りなんですよ。1年以上続く作品は10作品中1作品くらいと厳しい。打ち切りで途方にくれた漫画家さんも多く见てきたので、漫画家さんの力になりたいです。
『进撃の巨人』は5年近く连载していますが、伏线を仕込むのはおしまい。あとは结末に向け伏线を回収するだけと谏山さんは言っています。仆が连载当初から面白いと思っている谜の一つもまだ明かされていませんので、楽しみにしていてください。