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1楼2013-03-10 22:53回复
    海人(海士):龙女伝说と母の爱(能、谣曲鉴赏)
    能「海人」は、「申楽谈义」に「金春の节」とあるので、世阿弥以前の古い能のようである。当の金春流では、この作品は多武峰への奉纳のために作られたと伝えているらしい。金春に限らず、大和四座と呼ばれた申楽は、多武峰への奉纳を义务付けられていた。多武峰は兴福寺、春日大社と并んで、藤原氏とかかわりの深いところであったから、藤原氏ゆかりの伝说を能に仕立てたのではないか。
    内容は、藤原北家の祖・房前が、亡き母の追善のために讃州志度の浦にやってきたところ、母の亡霊が海人となって现れ、子と対面し、自らが死んだ事情について语るというものである。
    房前の父・淡海公(藤原不比等)は、唐土から赠られた三つの宝のうち、面向不背という玉を竜宫に取られてしまったので、身をやつしてこの浦に来り、土地の海人と契りを结ぶのであるが、海人は生まれてきた子の出世のために、我が身を犠牲にしてその玉を取り戻す。その折の、海人と龙との戦いの様子が一曲の趣向をなしているのである。
    后半では、龙女となった海人が、子の幸福を祈って舞い、自らも読経の力によって成仏する。
    子ゆえに命を舍てた母の爱情を描くという点で、母物の代表作であるが、「百万」や「隅田川」におけるような、子を失い悲しみにくれた母ではなく、子のために命がけで宝物を海中から引き上げるという、勇ましい母亲像が描かれている。
    その母亲が、后には龙女となることからもわかるとおり、この能は鬘ものや世话物ではなく、鬼の能の一种である。シテの舞も勇壮に演じられ、女性が主人公であるにもかかわらず、きびきびとして动きの多い能である。こんなところから、今でも人気が高い。
    なお、金春、宝生、金刚、喜多の各流派では「海人」といっているが、観世流のみは「海士」の字をあてている。
    前半では、房前の大臣が子方として登场し、母の亡霊たる海士と出会うところから始まる。房前を子方にしているのは、曲のテーマである母の爱を强调するためであろう。(以下、テキストは「半鱼文库」を活用)
    ワキ、ワキツレ二人次第「出づるぞ名残三日月の。出づるぞ名残三日月の。都の西にいそがん。
    ワキサシ「天地のひらけし恵ひさかたの。天の児屋根の御ゆづり。
    子方「房前の大臣とは我が事なり。さてもみづからが御母は。讃州志度の浦。房崎と申す所にて。むなしくなり给ひぬと。承りて候へば。急ぎ彼の所に下り。追善をもなさばやと思ひ候。
    ワキ、ワキツレ二人下歌「ならはぬ旅に奈良坂や。かへりみかさの山かくす春の霞ぞ恨めしき。
    上歌「三笠山今ぞ栄えん。此岸の。今ぞ栄えん此岸の。南の海に急がんと。ゆけば程なく津の国の。こや日の本の始なる。淡路のわたり末ちかく。鸣门の冲に音するはとまり定めぬ。蜑小舟{あまをぶね}。とまり定めぬ蜑小舟。
    ワキ词「御急ぎ候ふ程に。これははや讃州志度の浦に御着にて御座候。又あれを见れば男女{なんによ}の差别{しやべつ}は知らず人一人来り候。彼の者を御待{おんまち}あつて。此処の谓を委しく御寻あらうずるにて候。
    ここで、子かたらが舞台右手に着座すると、海女に扮したシテが登场する。
    シテ一セイ「海士の刈る。藻に住む虫にあらねども。われから濡らす。袂かな。これは讃州志度の浦。寺近けれども心なき。あまのゝ里の海人{かいじん}にて候。げにや名におふ伊势をの海士は夕波の。うちとの山の月を待ち。浜荻の风に秋を知る。また须磨のあま人は塩木にも。若木の桜を折りもちて。春を忘れぬたよりもあるに。此浦にては慰も。名のみあまのゝ原にして。花の咲く草もなし。何をみるめ刈らうよ。
    I


    2楼2013-03-10 22:54
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      2026-01-29 02:30:28
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      下歌「刈らでも运ぶ浜川の。刈らでも运ぶ浜川の。潮海かけて流れ芦の。世を渡る业なれば。心なしともいひがたきあまのゝ里に帰らん。あまのゝ里に帰らん。
      ワキ词「いかに是なる女。おことは此浦の海士にてあるか。
      シテ词「さん候此浦のかづきの海士にて候。
      ワキ「かづきの海士ならば。あの水底のみるめを刈りて参らせ候へ。
      シテ「痛はしや旅づかれ。饥にのぞませ给ふかや。わが住む里と申すに。かほどいやしき・田舎{でんじや}のはてに。不思议や云の上人を。みるめ召され候へ。
      词「刈るまでもなし此みるめを召され候へ。
      ワキ「いや/\さやうの为にてはなし。あの水底の月を御覧ずるに。みるめ繁りて障となれば。刈りのけよとの御諚なり。
      シテ「さては月のため刈りのけよとの御諚かや。昔もさるためしあり。明珠をこの冲にて龙宫へ取られしを。かづきあげしもこの浦の。
      地次第「天みつ月も満潮の。天みつ月も満潮の。みるめをいざや刈らうよ。
      饥えのためではなく、月を见るのに障りがあるから、みるめをのけて欲しいと闻いた海女は、その言叶に感じ、その昔、竜宫に取られた玉をかずきあげたのもこの浦であったと感慨をいう。そこから、物语はどんどんと进行していく。
      ワキ词「しばらく。何と明珠をかづきあげしも此浦の海士にてあると申すか。
      シテ词「さん候此浦の海士にて候。またあれなる里をばあまのゝ里と申して。かのあま人の住み给ひし在所にて候。又これなる岛は。彼の珠を取り上げ始めて见そめしによつて。新しき珠岛と书いて。新珠岛と申し候。
      ワキ「さてその玉の名を何と申しけるぞ。
      シテ「玉中に。釈迦の像まします。いづかたより拝み奉れども同じ面なるによつて。面を向ふに背かずと书いて。面向不背{めんかうふはい}の珠と申し候。
      ワキ「かほどの宝を何とてか。汉朝よりも渡しけるぞ。
      シテ词「今の大臣淡海公の御妹は。唐土高宗皇帝の后に立たせ给ふ。されば其御氏寺なればとて。兴福寺へ三つの宝を渡さるゝ。华原磐{くわげんけい}泗滨石{しひんせき}。面向不背の珠。二つの宝は京着し。明珠はこの冲にて龙宫へ取られしを。大臣御身をやつし此浦に下り给ひ。いやしきあま乙女と契をこめ。一人の御子を设く。いまの房前大臣これなり。
      海女の语る话を闻いた房前の大臣は、この海女が自らの出生のことを知っているのに、思わず叫びを上げ、なおも闻こうとするのに、海女も子と出会えたうれしさに、语り続ける。


      3楼2013-03-10 22:54
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        子方「やあこれこそ房前の大臣よ。あらなつかしのあま人や。なほ/\语り候へ。
        シテ「あら何ともなや。今まではよその事とこそ思ひつるに。さては御身の上にて候ひけるぞやあら便なや候。
        子方「みづから大臣の御子と生れ。恵开けし藤の门。されども心にかゝる事は。此身残りて母知らず。ある时傍臣语りて曰く。忝くも御母は。讃州志度の浦。房前のあまり申せば恐ありとて言叶をのこす。さては卑しき海士の子。賎の女の腹に宿りけるぞや。
        地谣「よしそれとても帚木に。よしそれとても帚木に。しばし宿るも月の光雨露の恩にあらずやと。思へば寻ね来りたり。あらなつかしの海士人やと御涙を流し给へば。
        シテ「げに心なき海士衣。
        地「さらでもぬらす我が袖を。重ねてしほれとやかたじけなの御事や。かゝる贵人の賎しき海士の胎内に。やどり给ふも一世ならず。たとへば日月の。潦{にはたづみ}にうつりて光阴を増す如くなり。われらも其海士の。子孙と答へ申さんは。事もおろかや我が君の。ゆかりに似たり紫の。藤咲く门の口を闭ぢて。いはじや水鸟の御主の名をば朽たすまじ。
        海人は、我が子ゆえに命を舍てる覚悟で海底に潜り、玉のある竜宫へと至れば、龙や鳄がいて玉を守っているのを、决死に竜宫へ飞び込み玉を夺い、乳を掻き切ってその中に玉を隠し、逃げ帰ってきたさまを语る。
        そしてこれも皆我が子ゆえのことなのだといいつつ、自分こそはその海人の幽霊なのだと言い残して去る。激越な调子で演じられるこの部分は、一曲のハイライトをなすものである。


        6楼2013-03-10 22:56
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          ワキ词「とてもの事に彼の珠を。潜{かづ}きあげし所を。御前にてそと学うで御目にかけ候へ。
          シテ词「さらばそと学うで御目にかけ候ふべし。その时あま人申すやう。もし此珠を取り得たらば。此御子を世継の御位になし给へと申しゝかば。子细あらじと领掌{りやうじやう}し给ふ。扨は我が子ゆゑに舍てん命。露ほども惜しからじと。千寻の縄を腰につけ。もし此珠を取り得たらば。此縄を动かすべし。其时人々力を添へ。引きあげ给へと约束し。一つの利剣を抜きもつて。
          地「かの海底に飞び入れば。空は一つに云の波。烟の波を凌ぎつゝ。海漫々と分け入りて。直下と见れども底もなく。辺も知らぬ海底に。そも神変はいさ知らず。取り得ん事は不定{ふじやう}なり。かくて龙宫にいたりて宫中を见れば其高さ。三十丈の玉塔に。かの珠を笼めおき香花を供へ守护神は。八龙并み居たり其外悪鱼鳄の口。逃れ难しや我が命。さすが恩爱の故郷の方ぞ恋しき。あの波の彼方にぞ。我が子はあるらん父大臣もおはすらん。さるにても此尽に。别れはてなん悲しさよと涙ぐみて立ちしが又思ひ切りて手を合わせ。南无や志度寺の・観音萨タの力を合はせてたび给へとて。大悲の利剣を额に当て龙宫の中に飞び入れば。左右へばつとぞ退{の}いたりける其隙に。宝珠を盗みとつて。逃げんとすれば。守护神おつかくかねてたくみし事なれば。持ちたる剣を取り直し。乳の下をかき切り珠を押し笼め剣を舍てゝぞ伏したりける龙宫の习に死人を忌めば。あたりに近づく悪龙なし。约束の縄を动かせば。人々よろこび引きあげたりけり珠は知らずあま人は海上に浮び出でたり。
          シテ「かくて浮びは出でたれども。悪龙の业と见えて。五体もつゞかず朱{あけ}になりたり。珠もいたづらになり。主も空しくなりけるよと。大臣なげき给ふ。其时息の下より申すやう。我が乳のあたりを御覧ぜとあり。げにも剣のあたりたる痕あり。その中より光明赫奕たる珠を取りいだす。さてこそ御身も约束のごとく。此浦の名に寄せて。房前の大臣とは申せ。今は何をかつゝむべき。これこそ御身の母あま人の幽霊よ。
          地「この笔の迹を御覧じて。不审をなさで吊へや。今は帰らんあだ波の。夜こそ契れ梦人の。明けて悔しき浦岛が。亲子のちぎり朝潮の波の底にしづみけり立つ波の下に入りにけり。
          中入の间にアイ狂言があり、三つの宝の说明をする。华原磐とは、一度打つと袈裟をかけるまで妙音が鸣り止まぬという楽器、泗滨石とは、墨をすると自然と水が涌き出る砚、そして面向不背とは、玉中にある釈迦の像がどの角度から见ても同じに见える珠のことだという。
          后半は、吊いの読経に诱われるように、龙女と化した母が现れる。
          ワキ词「いかに申し上げ候。あまりに不思议なる御事にて候ふほどに。御手迹を披いて御覧ぜられうずるにて候。
          子方「さては・亡母の手迹かと。ひらきて见れば魂黄壌に去つて一十三年。骸を白沙に埋んで日月の算を経。冥路昏々たり。我を吊ふ人なし。君孝行たらばわが冥暗をたすけよ。げにそれよりは十三年。
          地「さては疑ふ所なし。いざ・吊はんこの寺の。志ある手向草。花の莲の妙経色々の善をなし给ふ色々の善をなし给ふ。
          出端
          地「寂冥无人声{じやくまくむじんじやう}。
          后シテ「あらありがたの御吊やこの御経にひかれて。五逆の达多は天王记别を蒙り。八歳の龙女は南方无垢世界に生を受くる。なほ/\転読し给ふべし。
          地「深达罪福相{じんだつざいふくさう}。偏照於十方{へんせうおじつほう}。
          シテ「微妙浄法身{みめうじやうほつしん}。具相{ぐそう}三十二。
          地「以八十种好{いはちじつしゆかう}
          シテ「用荘厳法身{ゆうしやうごんほつしん}。
          地「天人所载仰{てんにんしよたいがう}。龙神咸恭敬{りうじんげんくきやう}あらありがたの御経やな。
          ここで龙女が舞うのは早舞といって、本来贵公子の演ずるべき飒爽とした舞である。母が子に感情移入して、子に変わって舞うといった风情である。しかして、龙女は成仏でき、一曲が闭じる。
          シテ「今此経の徳用にて。
          地「今この経の徳用にて。天龙八部。人与非人。皆遥见彼。龙女成仏さてこそ讃州志度寺と号し。毎年八讲。朝暮の勤行。仏法繁昌の霊地となるも。この孝养{けうやう}と。承る。
          笔者は数年前、谣曲の仲间とともに、谣迹を访ねて奈良に旅行し、多武峰の谈山神社を访れたことがあった。多武峰は昔から红叶の名所である。笔者らが访れたのは折しも秋の盛り、全山がみごとな红に染まっていた。
          山深いところにかかわらず、壮丽な建物が立ち并び、大势の见物人でごった返していた。我々は、折角谣迹の名所に来たのだからと、どこかで谣曲の奉纳をしようと思ったのだが、なかなかよい场所がみつからない。别に人目をはばかったわけでもなかったが、多宝塔の脇にほどよい空间があるのをみつけると、そこで、轮になって、「海士」の一节を合唱したのであった。


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