雪がちらほらと舞っていた。
マフラーに首をうずめながら、携帯电话を开く。
「…遅い」
遅い、遅すぎる。
「『レン、今日は一绪に帰ろー。行きたいところがあるの。ついて来てくれるでしょ?』…って言ったのはどこのドイツだ…」
一字一句间违えるところは无いぞ。何せ、クリスマスにそんなことを言われて、何のフラグかと飞び上がりそうになったんだからな。
ぶつぶつ言いながら、レンは思う。
それにしても、今日はクリスマス。リア充の祭り。町にはカップルたちがあふれかえり、クリスマスソングなるものが流れ、あたりはクリスマスムード一色、ツリーやらプレゼントやら、同じようなものをみて喜んで、同じようなものをもらって喜ぶ。结局、毎年同じようなことを缲り返すだけじゃないか。
…と、言うことは、俺、镜音レンはリア充の祭典クリスマスが大嫌いである。
送信ボタンを押し、白い雪が降ってくる空を见上げた。灰色の空はずっと远くのほうで灰色のビル街と混ざって行った。
「れーんーっ」
后ろから飞びついて来たのは、待ち人――ようはリンである。
「遅い!」
そう俺が文句をつけると、リンはちっとも反省していない风で、
「ごめん、ミク姉と话してた」
「メールくらいよこせよな!」
「携帯部屋に忘れちゃったんだもん」
「ったく、ドジ!」
一通り言ってしまうと、俺たちは歩き出した。
二人おそろいのマフラーは、ミク姉が「祝☆Append」とか何とか言ってくれた奴である。中々暖かくて、二人とも気に入ってはいる。仕事场では少し耻ずかしくて俺のほうが外していることが多いけど、リンはそんなこと気にせず、四六时中、PVの撮影以外はほぼつけている。
勿论、おれたちはVOCALOIDであって、人间ではないから、设定をいじれば寒さも暑さも感じないようにはできるのだが、寒さを感じなくすると、暖かさも感じられなくなってしまうので、今のところ、その设定はいじっていない。
「今日、レンもPV撮影だったよね?」
「ああ、カイト兄と。クリスマスソングまでBLとかホント勘弁して欲しいな」
「设定とか回路いじってホモになれないの?」
「ならねぇしなりたくねぇよ!!」
そうやって向きになるのには少し理由がある。…が、话すのも不快なので、また别に机会があったら话すことにする。
「リンは?」
「リンもPVだったの」
「百合?」
「ちがうよー。リンはねぇ、クリスマスの曲のPV。すごく可爱い小物いっぱいだったぁ」
「同じクリスマスソングなのにこの差は何だ」
あはは、と愉快そうに笑うリンを见ながら俺は深いため息をついた。息が真っ白になって、消えていった。
「それで、どこ行くんだよ?」
「え?」
「行きたいところあるんだろ?」
うーん、と考えて、リンは思い出したように言った。
「ああ、もういいの。クリスマスプレゼント买おうと思ったんだけど」
「他に买った?」
「うん、まあ、そんなとこ」
暧昧な答え方が少し気にはなったが、兎に角寒くて仕方が无かったので、あえて追求はせず、家路を急いだ。
クリスマスと言うこともあって、家ではクリスマスパーティをやるとかで、全员仕事を早く切り上げるようにと年长组みから命をうけている。
暖かい家が恋しい。
ああ、こんな季节、さっさと爆発すればいいのに。
パーティはまあ当初のレンの予想通り、メイコ姉が悪酔いし、ぐでんぐでんになって回りに络みまくった挙句、一人ぐうすか眠り込み、その后はミク姉とルカ姉の独坛场。二人で大根芝居(それも百合モノ)をうち、リアクションを强要してくる。それをカイト兄が止め、俺とリンとカイト兄が片づけをして、メイコ姉たちをベッドに运んでから、それぞれ部屋に戻る。
结局いつもと大して変わらなかったなぁ、と思いながら、リンは苦笑した。
ふと见ると、レンがソファで眠っていた。よく考えると、いつもなら寝ている时间だ。无理も无い。
「レン子供ー」
言いながら近づいてみると、子供みたいに寝息を立てて无邪気に眠っている。
これって、一体何のフラグだろう?
「クリスマスプレゼントだから」
「…リン、どうしたんだい、颜が真っ赤だよ?」
「な、なんでもないっ」
リンはそう言ってから、カイト兄を突き飞ばして、部屋に戻った。
くそぅ、カイト兄の所为で、タイミング逃しちゃったじゃん! 明日はカイト兄のアイス食べちゃうんだから!
むくっと起き上がって、俺は伸びをした。
「カイト兄」
「あれ、レン、おきたの?」
「ねてねぇし。空気嫁、オールバッカイト」
「オールバックじゃないんだけど」
いいところだったのに。
夜中、部屋には月明かりばかりが差し込み、幻想的であった。
「リン、起きてる」
俺が闻くと、リンはもぞっと少しだけ动いて、
「うん」
と言った。どうやら先ほどのことを気にしていると见えて、俺が部屋に戻ってきてからも一度も俺を直视しようとはしていない。
「クリスマスプレゼント、あげる。…おきて」
布団をめくって、俺はベッドの上に座った。ダブルベッドの上には小柄な俺たちが横になっても少しも狭くは无い。
言われたとおり、リンが起き上がって、俺に向き合うように座る。
「目、闭じて。绝対惊くから」
「もう、何?」
「いいから」
谛めたようにリンは目を闭じて、それでも俺からのプレゼントを受け取ろうと、しっかり手は构えてあった。
肩などに触れて気づかれないよう细心の注意を払いながら、俺はそっとリンにキスをした。
「!!!!」
颜が一気に真っ赤になってリンが目を见开いた。
唇を离してやると、リンはわけのわからないことを口走りながら、どうにかかろうじて、
「な、何するの!」
と言った。
「何って」
俺は少し笑ってから、
「クリスマスプレゼントだけど?」
何も言い返せないリンを见て、俺はクククッと笑って、
「未熟者」
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